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【シリーズ「再生医療の現場では」】

深い「ほうれい線」も改善する皮膚再生治療とは?濃縮した血小板に成長因子を加える「FGF添加PRP療法」

繊維芽細胞は、刺激をすることで再び働き出す

 この治療は何歳になっても受けられるのだろうか?

 「歳を重ねると表皮・真皮・皮下組織とも厚みが減ってくるが、特に真皮・皮下組織が減少します。しかし、FGF添加PRP療法をすると、真皮層と皮下組織層が厚くなり97%の人で症状が改善するというデータがあります。繊維線維芽細胞は、歳をとるにつれ若い頃より働きは低下するが、刺激をすることで働くようになる。80歳近い方でも治療を受けられることで、改善は見込めるのではないでしょうか」

 人によって血小板の濃度には差があるので、濃度が薄い人にはさらに濃縮して注入することが大切なのだとか。

 そしてFGF添加PRP療法の改善効果だが、たとえば、ほうれい線の場合なら、およそ3年程度以上持続するとされる。ヒアルロン酸注射の場合だと、3年間で多い場合6回は治療を受けないと効果を維持できないので、持続期間の長さは魅力的かもしれない。

 治療を受ける際、医療機関や医師はどのように選べば良いのか?

 「まず素朴な疑問にもちゃんと答えてくれるかが大切。その上で以下の3つの質問をしてほしい」と鎌倉統括院長は説明する。

 その3つの質問とは――。

 「1つめは、治療効果はどの程度あるかを、数字で説明できるかが大切。FGFを添加しないPRP治療単体だと、10点満点で5が平均値で概ね3回程度の治療が必要だが、きちんと説明してくれるか質問してください。2つめは、整形外科で行うPRP治療とは何が違うかを質問してください。皮膚に行うのと何が異なるのか、メカニズムがきちんと理解できているかが大切。3つめは、症例数が重要。医師に尋ねたりホームページなどで調べたりしてください。症例数が多いほど、皮膚のどの位置(深さ)に注入すれば改善度が高まるのかなど、経験知が蓄積されているからです」

 また価格については、FGFを添加しないPRP治療単体の1回あたりの単価は5〜10万円くらい(3回で20万円程度)が相場だという。3回で3ケタを超えるようだとその理由をしっかり質問したほうがよいかもしれない。

 都市部の美容クリニックでは、一般的に行われているPRP治療だが、大切な肌とお金を守るためにも、上記の質問を医師に投げかけてほしい。誠実な治療を行っている医療機関で、満足のいく治療を受けたい。
(取材・文=渡邉由希/医療ライター)


深い「ほうれい線」も改善する皮膚再生治療とは?濃縮した血小板に成長因子を加える「FGF添加PRP療法」の画像3

鎌倉 達郎(かまくら たつろう)
聖心美容クリニック統括院長。豊富な臨床経験を持ち、ボディデザインのほか、顔面形成などの高度な技術を要する手術で高い評価を得ている。「脂肪幹細胞移植」による豊胸術の導入など、再生医療を応用した新しい美容医療の確立に向け積極的に取り組んでいる。宮崎医科大学医学部卒業、九州大学生体防御医学研究所附属病院(現・九州大学病院別府先進医療センター)勤務などを経て現職。
聖心美容クリニック www.biyougeka.com

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