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【シリーズ「これが病気の正体!」第11回】

【閲覧注意】黒い小石が体内にビッシリ…三大激痛の一つ胆石症の正体とは?

ビリルビンとコレステロールの「混合型結石」

 【閲覧注意】こんなものが体内に! 「胆石症」の激痛の正体とは?の画像2
 【閲覧注意】こんなものが体内に! 「胆石症」の激痛の正体とは?の画像3

 40歳の女性。3年前より脂っこい物を食べた後、ときどき上腹部に痛みを感じていた。夕食後30分ほどで上腹部に差し込むような強烈な痛みがあり、夜間救急外来を受診。鎮痛薬の投与で痛みは軽快した。発熱、黄疸なし。超音波検査で胆嚢内に胆石を3個認めた。後日、腹腔鏡下胆嚢切除術が施行された。

 胆嚢内には径1cmの黒色の結石を3個認めた。球形の結石が胆嚢の出口(胆嚢管)に落ち込んで激痛が発生したと考えられる。鎮痛薬投与により痛みが軽快したのは、鎮痛効果が胆嚢管の開通を促したためと考えられた。
 
 胆石の割面では、内部に黄色調のコレステロール成分を認める。表面にビリルビンが沈着した混合型結石である。胆嚢粘膜は発赤・充血しているが、胆嚢壁の肥厚は軽度だった。

胆石症の症状は?

 胆石症は、胆石が胆嚢内に収まっているときには、症状があらわれない。胆石が胆嚢内を移動して、胆嚢の出口(胆嚢管)に詰まったり、胆嚢を出て総胆管まで運ばれると強い痛みが生じる。右上腹部を中心とする発作性の激しい痛みが特徴だ。

 脂っこい物を食べると、生理的に胆汁分泌が刺激される。というわけで、天ぷらなどを食べると、痛みの発作が誘発される。

 胆嚢の出口に詰まるのは小さな「石」が多く、大きく立派な「石」ほど無症状だ。胆嚢の出口やその先の総胆管に石が詰まると、胆汁の流れが悪くなり、ビリルビンが血中へと漏れ出し、皮膚や白目(結膜)が黄色くなる「黄疸」が生じる。細菌感染も生じやすくなり、発熱も起こる。

 「胆石症」の発作性の痛みは、「尿管結石」「痛風」とともに「三大激痛」として古くから挙げられているほどの痛みなのだ。
(文=堤寛)

シリーズ「これが病気の“正体”!」バックナンバー

堤寛(つつみ・ゆたか)

つつみ病理相談所http://pathos223.com/所長。1976年、慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍。2001〜2016年、藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。2017年4月~18年3月、はるひ呼吸器病院・病理診断科病理部長。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書、電子書籍)『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス、電子書籍)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)、『患者さんに顔のみえる病理医からのメッセージ』(三恵社)『患者さんに顔のみえる病理医の独り言.メディカルエッセイ集①〜⑥』(三恵社、電子書籍)など。

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