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【シリーズ「これが病気の正体!」第11回】

【閲覧注意】黒い小石が体内にビッシリ…三大激痛の一つ胆石症の正体とは?

コレステロール結石

 【閲覧注意】こんなものが体内に! 「胆石症」の激痛の正体とは?の画像6
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 40代の女性。肥満気味。検査でたまたま「胆石症」が疑われ、超音波検査で胆嚢内に胆石が発見された。右上腹部に違和感が起きるようになったため、手術を希望。腹腔鏡的に胆嚢切除が行われた。

 胆嚢内に1cm大の黄色いコレステロール胆石が3個見いだされ、胆嚢粘膜は広く黄色を呈している。これは、胆嚢粘膜内にコレステロールが沈着した「胆嚢コレステロール症」とよばれる状態である。コレステロール結石と同時に観察されやすい。

ビリルビン結石の原因は?

 一方、「ビリルビン」が原因の胆石症はなぜ起きるのか?

 胆管や胆嚢は、胆管を逆流して大腸菌などの腸内細菌が感染することがある。腸内細菌の多くは「β-グルクロニダーゼ」と呼ばれるグルクロン酸抱合を壊す酵素を持っている。

 胆汁中のビリルビンは、グルクロン酸抱合され水に溶けやすくなっているので、腸内細菌に感染すると水に溶けにくい遊離の(非抱合型の)ビリルビンとなる。これが黒いビリルビン結石ができるメカニズムだ。

 細菌由来の酵素はさらに、タウリン抱合された抱合型胆汁酸も分解して、遊離胆汁酸に変えてしまい、ビリルビンの沈着を助長する。

 細菌は十二指腸から胆管を伝って感染するので、胆嚢外にできる胆石の多くは黒いビリルビン結石だ。感染が生じやすい高齢者に多く、コレステロール結石と異なり、男性に比較的多い傾向がある。

 余談だが、栄養ドリンク剤『グロンサン』の主成分はグルクロン酸だ。現在は「タウリン」も配合されている。ビリルビンや胆汁酸がしっかり抱合して胆汁機能を促進するのが、このドリンク剤の特徴なのだ。

 では、「ビリルビン結石」のケースを見てみよう。「こんなものが体内に……」驚きだ。

堤寛(つつみ・ゆたか)

つつみ病理相談所http://pathos223.com/所長。1976年、慶應義塾大学医学部卒、同大学大学院(病理系)修了。東海大学医学部に21年間在籍。2001〜2016年、藤田保健衛生大学医学部第一病理学教授。2017年4月~18年3月、はるひ呼吸器病院・病理診断科病理部長。「患者さんに顔のみえる病理医」をモットーに、病理の立場から積極的に情報を発信。患者会NPO法人ぴあサポートわかば会とともに、がん患者の自立を支援。趣味はオーボエ演奏。著書に『病理医があかす タチのいいがん』(双葉社)、『病院でもらう病気で死ぬな』(角川新書、電子書籍)『父たちの大東亜戦争』(幻冬舎ルネッサンス、電子書籍)、『完全病理学各論(全12巻)』(学際企画)、『患者さんに顔のみえる病理医からのメッセージ』(三恵社)『患者さんに顔のみえる病理医の独り言.メディカルエッセイ集①〜⑥』(三恵社、電子書籍)など。

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