コレステロール結石
40代の女性。肥満気味。検査でたまたま「胆石症」が疑われ、超音波検査で胆嚢内に胆石が発見された。右上腹部に違和感が起きるようになったため、手術を希望。腹腔鏡的に胆嚢切除が行われた。
胆嚢内に1cm大の黄色いコレステロール胆石が3個見いだされ、胆嚢粘膜は広く黄色を呈している。これは、胆嚢粘膜内にコレステロールが沈着した「胆嚢コレステロール症」とよばれる状態である。コレステロール結石と同時に観察されやすい。
ビリルビン結石の原因は?
一方、「ビリルビン」が原因の胆石症はなぜ起きるのか?
胆管や胆嚢は、胆管を逆流して大腸菌などの腸内細菌が感染することがある。腸内細菌の多くは「β-グルクロニダーゼ」と呼ばれるグルクロン酸抱合を壊す酵素を持っている。
胆汁中のビリルビンは、グルクロン酸抱合され水に溶けやすくなっているので、腸内細菌に感染すると水に溶けにくい遊離の(非抱合型の)ビリルビンとなる。これが黒いビリルビン結石ができるメカニズムだ。
細菌由来の酵素はさらに、タウリン抱合された抱合型胆汁酸も分解して、遊離胆汁酸に変えてしまい、ビリルビンの沈着を助長する。
細菌は十二指腸から胆管を伝って感染するので、胆嚢外にできる胆石の多くは黒いビリルビン結石だ。感染が生じやすい高齢者に多く、コレステロール結石と異なり、男性に比較的多い傾向がある。
余談だが、栄養ドリンク剤『グロンサン』の主成分はグルクロン酸だ。現在は「タウリン」も配合されている。ビリルビンや胆汁酸がしっかり抱合して胆汁機能を促進するのが、このドリンク剤の特徴なのだ。
では、「ビリルビン結石」のケースを見てみよう。「こんなものが体内に……」驚きだ。