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【連載「肥満解読~痩せられないループから抜け出す正しい方法」第16回】

糖質制限するなら知っておきたい糖質の話 ブドウ糖と砂糖は何が違う?

単糖類(ブドウ糖・果糖・ガラクトース)と二糖類(麦芽糖・砂糖・乳糖など)の違いは?の画像1

「甘みのある糖質」はどれも同じ?(depositphotos.com)

 一般的に、人間がエネルギーに転換し得る炭水化物を「糖質」と呼びます。糖質の中でいちばん小さな基本単位が「単糖」で、「ブドウ糖」「果糖」「ガラクトース」があります。それらが2つ繋がったものが「二糖類」で、「砂糖」「麦芽糖」「乳糖」などです。

 これらには確実に「甘味」があります。しかし、単糖がたくさん連なると甘みを感じにくくなります。それが「でんぷん」などの「多糖類」です。今回は、「甘みのある糖質」について、それぞれ説明してみます。

生命の基本エネルギー「ブドウ糖」は「糖新生」で十分に間に合う

 「ブドウ糖(グルコース)」は、人間を含むさまざまな生物の血液・体液の中に含まれている単糖です。人間でも、ニホンザルでも、オオカミでも、ヤマネコでも、ヤギでも、ウシでも、つまり「雑食」でも「肉食」でも「草食」でも、食べ物に関係なく、活動的な哺乳類の平常時の血中ブドウ糖の値(血糖値)は100mg/dl前後に保たれています。生命維持にとても重要な物質で、実際、脳はブドウ糖を好みますし、赤血球はブドウ糖でしかエネルギーを得られません。

 糖質を摂取しない「肉食動物」でも、血糖値が一定に保たれているのはなぜか? それは、アミノ酸を原料に脂質をエネルギーにして、肝臓などでブドウ糖を合成しているからです。これを「糖新生」と呼び、私たち人間の体内でも常に起こっている現象です。ですから、糖新生能力が正常な人であれば、糖質を摂らなくても死にはしません。

 このことから「糖質を摂らないと低血糖で脳が機能しなくなる! 砂糖をなめろ! 米を食え!」と叫ぶ人たちがいかに非科学的な考えかがよくわかります。

 また「糖質制限して糖新生すると、筋肉がブドウ糖に換えられて痩せ細り、サルコペニアになるから危険だ!」と叫ぶ人たちもいますが、その理屈だと、肉しか食べないヤマネコやオオカミなどの肉食獣も、みんなサルコペニアに罹ることになるので、これまた変な話です。

なぜ「糖質制限」が有効なのか?

 もちろん、経済性やエネルギー効率を考えると「生活習慣病を起こさない程度の糖質摂取」にはメリットもあります。また、糖質摂取だけで生きてきた「糖質エンジン」しかまともに回せない人に、いきなりの厳しい「糖質制限」は向いていません。高~中脂質・中~高蛋白質・低糖質の「山田式」ぐらいの糖質摂取量が、万人の落としどころだと思います。

 ブドウ糖は自然界には単独で存在することが少なく、ブドウなどの一部の果物に果糖などと混在しています。ブドウ糖そのものの甘みは砂糖に比べれば控えめです。植物の組織内でブドウ糖が2つ繋がったものが、麦類の新芽に多く含まれる「麦芽糖(マルトース)」であり、水あめの甘みです。これもマイルドな甘みです。

 ブドウ糖がたくさん繋がったものが穀物に多く含まれる「でんぷん(スターチ)」や「セルロース」で、動物はブドウ糖を繋げてグリコーゲンという形で肝臓や筋肉に保存しています。

 このようにブドウ糖は体にとって大事な糖であり、甘みも強くないので、たくさん食べてもよさげに見えます。

 しかし、人間を含む哺乳類がブドウ糖を含む糖質を消化吸収すると、血糖値が上がり、それが上がりすぎると、血糖値を下げるためにインスリンが追加分泌されます。これを1日3食、朝昼晩、頻繁に繰り返すと、膵臓も疲れるし、内臓脂肪が増え、メタボリックシンドロームに陥りやすくなります。だから糖質摂取は控えめにしましょうというのが糖質制限です。

吉田尚弘(よしだ・ひさひろ)

神戸市垂水区 名谷病院 内科勤務。1987年 産業医科大学卒業、熊本大学産婦人科に入局、産婦人科専門医取得後、基礎医学研究に転身。京都大学医学研究科助手、岐阜大学医学研究科助教授後、2004年より理化学研究所RCAIチームリーダーとして疾患モデルマウスの開発と解析に取り組む。その成果としての<アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子の解明>は有名。
その傍らで2012年より生活習慣病と糖質制限について興味を持ち、実践記をブログ「低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告」を公開、ドクターカルピンチョの名前で知られる。2016年4月より内科臨床医。

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