「ポルノ動画の長さ」も射精障害に拍車
また「ポルノ動画の長さ」も膣内射精障害に拍車をかけていると岡田教授は言う。
「ポルノを見てマスターベーションをするときには、自分の好きなところで射精するようにそれまで我慢しようとか、なるべく出さないでコントロールすることばかりしている。すると、いざ現実の女性とセックスしても、『一気に入れて射精までいく』ということができないで、フィニッシュできない。肝心の射精する訓練をしてないわけです」
マスターベーションをするのとは違い、実際のセックスでは相手を気遣いながら行なわなければならない。ところが、一方的に女性が奉仕してくれる映像ばかり見ていると、それができなくなってしまう。
加えて、セックスの際、勃起のときには副交感神経が優位になっているが、射精のときには交感神経が優位に切り替わる。しかし、普段射精のコントロールばかりをしていると、いざというときに、その快感の閾値を超えられなくなってしまうのだという。
挿入して30分たっても射精できなければ、男性は疲れてくるし、女性も性交痛が生じる――結局、最後までできずに終わってしまうというケースが、非常に多いのだという。
(取材・文=里中高志)
岡田弘(おかだ・ひろし)
獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科主任教授。医学博士。1980年、神戸大学医学部医学科卒業。1985年、神戸大学大学院医学研究科博士課程修了。1985年から87年にかけてDepartment of Urology, Department of Microbiology and Immunology, New York Medical Collegeに留学。三木市三木市民病院泌尿器科主任医長、神戸大学医学部助教授、帝京大学医学部泌尿器科助教授を経て現職。著書に『男を維持する「精子力」』(ブックマン社)がある。