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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第42回】

睡眠薬や危険ドラッグなどの「デートレイプドラッグ」による性犯罪に注意を!

「デートレイプドラッグ」の特性と悪用された際の対処法

 次に「デートレイプドラッグ」の特性と悪用された際の対処法について説明しよう。

 体に力が入りにくい、眠気、記憶が薄れる、危険に対して無防備になるなどの症状が出現した時は、要注意である。最近はこれらの危険薬では、アルコールなどの飲み物に混入されると、青色に変色し、危険信号を発するように工夫されている薬剤もあるので、あらかじめその事実を認識することも必要であろう。

 悪用された際の対応は、ただちに警察や支援団体に連絡すること(注2)。医療機関を受診して、薬剤の使用を証明するために、採血と採尿を受けること。

 そして、そのような被害にあわないために重要なことは、インターネットなどで「デートレイプドラッグ」の存在や危険性を認識する必要があろう。 

注1:ラッシュ(RUSH):亜硝酸エステルが主成分の薬剤。以前は狭心症治療薬として医療用に使用されていた。血圧低下、拍動強化作用がある。吸引して使用する。数十秒間の酩酊感覚が生じる。我が国では市販されていないが、違法に出回っている。インターネットでの購入も可能。国際郵便で輸入しようとして、摘発されたケースもあった。2010年頃に我が国では「危険ドラッグ(吸入薬)」として代表的地位を占めた。
 
注2:性暴力の被害者のための支援機関や「デートレイプドラッグ」関連の支援団体は全国に45か所存在する。そこでは主に、医療支援、心理カウンセリング、警察などとの捜査手続きなどの便宜を取り扱ってくれる。運営団体は民間のものや地方公共団体が開設したものも。なお性被害に関しての相談窓口として、警察の全国共通ダイアルは「#8103」となっている。


連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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