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【シリーズ「AIと医療イノベーション」第21回】

AI(人工知能)が自殺願望を可視化し、自殺を未然に防ぐ時代が来る!

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AIで自殺が防げるか?(depositphotos.com)

「平成28年度自殺対策白書」によれば、2016年の自殺者数は21,764人。2015年は3万4427人なので、自殺者数は減少傾向にある。だが、自殺率は約90カ国中のワースト6位(女性は3位)。いまだ解決の糸口は見えない。

 人はなぜ自殺に走るのか? その病理も心理も御し難い。だが、自殺への回路は辿れる。脳だ。自殺したいと考える人の脳は、どうなっているのか?人工知能(AI)の出番だ。

自殺危険群の人の前頭葉などに危険信号

 脳画像、映像、診療記録などのデータから、自殺者志願者を特定する研究成果がある。

 今年10月末、米カーネギーメロン大学のMarcel Just教授ら研究チームは、「AIで脳イメージを分析し、自殺する可能性が高い人々の90%以上を判別することに成功した」とする論文を『Nature Human Behaviour』に発表した。

 研究チームは、自殺を企てたり、自殺を真剣に考えた経験がある18~30歳の青年17名(自殺危険群)と、同じ年齢帯の自殺を全く考えたことがない青年17人(一般群)を対象に調査した。

 まず、ポジティブな言葉10個、ネガティブな言葉10個、自殺や死と関連した単語10個をそれぞれ示し、「磁気共鳴機能画像法(fMRI)」で脳を撮影。撮影したfMRI画像をAIが学習し、自殺願望を持つ自殺危険群の特徴を割り出した。

 驚くべき結果だった。

 自殺しようと考えている自殺危険群の人々が「死」「苦境」という言葉を見ると、脳の「恥ずしかさ」を司る前頭前野が一般群の人々よりも強く反応した。一方、「怒り」と関連する領域は特段の反応を示さなかった。

 前頭前野は、思考や創造性を担う脳の最高中枢。ワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能、高次な情動・動機づけ機能、意思決定、社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など多様な機能を担っている。

 さらに「死・残酷・トラブル・気楽・幸せ・賞賛」などの6つの単語を提示したところ、脳内5か所で自殺危険群と一般群の差が大きかった。

 次に、AIが6つの単語と5カ所の脳領域の反応を組み合わせた30種類のパターンを解析したところ、一般群と自殺危険群を91%の精度で特定。さらに自殺危険群のなかで実際に自殺を図った人々を94%の高精度で判別することに成功した。

 米国立衛生研究所(NIH)は「今後、さまざまな精神疾患を診断するツールになる可能性が大きい」とコメントしている。

 自殺を考えている人をAIで判別できれば、医療スタッフが事前に兆候を察知し、自殺防止を支援できるかもしれない。

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