ヨガと有酸素運動の組み合わせで効果アップ
10月19~21日にドバイで開催された「第5回首長国心臓病学会」では、「2型糖尿病を合併する心臓病患者」がヨガと有酸素運動を行ったら、血圧や血中脂質といった心臓病のリスクが低下した――と発表された。
膵臓のβ細胞が壊れてインスリンが分泌されない「1型糖尿病」に対し、糖尿病になりやすい人が肥満・運動不足などをきっかけに発病するのが「2型糖尿病」である。
発表を行った研究者は、「ヨガと有酸素運動を組み合わせると、精神的ストレスのほか、身体的ストレスや血管にかかる負荷も軽減し、心血管疾患による死亡率や罹患率の低下につながると考えられる」と述べている。
今回の研究は、2型糖尿病を患い肥満でもある750人の冠動脈疾患患者を対象にしている。対象者を、有酸素運動(225人)、ヨガ(240人)、有酸素運動とヨガのどちらも行う(285人)の3グループに分け、それぞれ6カ月間継続してもらった。
その結果、「有酸素運動」または「ヨガ」の「どちらかの一方」だけを行ったグループでは、血圧や総コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、LDL(悪玉コレステロール)のほか、体重とウエスト周囲長が、どちらのグループも同じ程度に改善していた。
ところが、「ヨガと有酸素運動」を組み合わせて行うと、単独で行った場合と比べて、血圧や脂質、体重などが低下した値は2倍。さらに心機能と運動能力にも有意な向上が認められた。
このような心臓病をはじめとした生活習慣病、認知症やうつなどの予防・改善に関係するヨガの研究報告が盛んに行われている。こうなったらもう、ヨガをやるしかないだろう。
体のカタい人でもあきらめる必要はない。むしろ、体がカタければヨガへの集中度が高まるので、効果も高まるとヨガインストラクターは語っていた。
寒くなって運動力が減りがちになるシーズン。無理のない範囲で、ヨガやウオーキングなどの有酸素運動を生活に取り入れてはいかがだろうか。
(文=森真希)
森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。