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【シリーズ「あの人はなぜ死に急いだのか?スターたちの死の真相!」第4回】

夏目雅子「急性骨髄性白血病」が奪った27歳の命 闘病わずか7ヶ月で夭逝

19歳の女優デビュー!27歳。不倫していた直木賞作家の伊集院静とゴールイン!

 夏目雅子、本名・西山雅子、旧姓・小達雅子(おだて まさこ)。1957年12月17日、東京都港区旧高樹町の日赤病院で六本木2丁目の輸入雑貨店・亀甲屋の長女として出生。小学3年生の9歳。テレビドラマ『チャコちゃんハーイ!』に大感動。「子役になりたい!」と意気込んだが、母・スエの猛反対に押し切られ、しぶしぶ断念。だが、小さな胸に芽生えた夢の蕾は萎(しぼ)まない。チャンスは巡ってくる。

 17歳。映画『ひまわり』(ヴィットリオ・デ・シーカ監督)をシネマ座で観る。ソフィア・ローレンの瞳から溢れ出る大粒の涙に引き込まれ、女優を夢見る。夢は一夜一夜、夏目を勇気づける。19歳、テレビドラマ『愛が見えますか』で盲目のヒロイン役を遂に射止め、本名の小達雅子で女優デビュー。20歳、山口銀行の広告に登場。カネボウ化粧品の「クッキーフェイス」のセクシーCMで一躍ブレイク。CMディレクターは、後に夫となる伊集院静。芸名が夏目雅子になる。

 映画『トラック野郎・男一匹桃次郎』に初主演。21歳、テレビドラマ『西遊記』で三蔵法師役を好演。以来、女優の名声を手にする。23歳。テレビドラマ『サンキュー先生』にいじめられっ子の姉役に特別出演。プロデューサーの久世光彦に推薦され、『虹子の冒険』にテレビドラマ初主演。女優の将来性を見込んだ演出家の和田勉がテレビドラマ『ザ・商社』のヒロインに大抜擢。3人の男を踏み台にのし上がるピアニスト役に挑戦。「お嬢さん女優」のイメージを覆す。

 24歳。テレビドラマ『野々村病院物語』に出演。NHK大河ドラマ『おんな太閤記』では、お市の方役を熱演。『ふたりの雅子』によると、この頃、バセドウ病の手術を行い、持病の腎盂炎の治療にも努める。25歳、『鬼龍院花子の生涯』の台詞「わては高知の侠客、鬼龍院政五郎の、鬼政の娘じゃき、なめたらいかんぜよ!」が流行語に。ヌードシーンはスタントを立てず熟演。迫真の妙技が絶賛され、ブルーリボン賞を獲得。演技派女優の地歩を一気に固める。

 26歳、NHK大河ドラマ『徳川家康』に淀君役で出演。27歳、不倫していた直木賞作家の伊集院静と結婚。『ふたりの雅子』によると、結婚前、伊集院との間にできた子を堕胎。伊集院は、二人の関係を丹念に描いた小説『乳房』で事実を赤裸々に吐露、大スキャンダルになる。母・スエは、『ふたりの雅子』の中で、内気な少女雅子の選んだ結婚は、押しかけ女房だが、伊集院との赤い糸で結ばれた幸せな時間だったと娘の健気さを静かに讃えている。

 1993(平成5)年12月、母・スエと兄・小達一雄は、雅子の遺産を元手に、がん患者に無償でかつらを貸し出す『夏目雅子ひまわり基金』を立ち上げ、がん患者の闘病生活や寛解後の社会復帰を支援している。
(文=佐藤博)

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佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。

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