最も流通する「カフェイン製剤」だと50錠で致死量に
カフェインは、コーヒー、ココア、緑茶、紅茶などのドリンクや、いわゆるエナジードリンクに含まれているが、致死量である5g以上摂取するには、50杯以上が必要であり、現実には不可能であろう。
しかし、風邪薬や鎮痛薬は錠剤であるため、最も流通しているカフェイン製剤である「エスタロンモカ(1錠中100mg含有)」では、50錠服用すれば比較的容易に致死量に達する。
最近では風邪薬など、いつでも誰でも薬店で購入可能であり、またインターネットを利用して、安価で容易に購入できるようになった。
今後もカフェイン製剤の大量服用による自殺企図が増加することが懸念されているので、本剤の販売に関する規制が必要と思われる、と調査委員会の埼玉医科大学の上條吉人医師は指摘した。
カフェインは現代の代表的「危険ドラッグ」である
2017年の本学会でも、カフェイン中毒の症例報告が認められた――。
岸和田徳洲会病院救命救急センターの薬師寺泰臣医師は、アセトアミノフェンを含有する風邪薬である「パブロンS」と「イブA」を合計130錠(アセトアミノフェン7g相当)を服用した症例で、同剤に含有するカフェイン3gによる重篤な不整脈が出現したと報告した。
また、帝京大学ちば総合医療センターの汐月信仁医師は、42歳男性例でのカフェイン中毒にて、低カリウム血症を呈し、9分間心停止したものの、除細動などの治療を行って救命できた症例を報告した。
カフェイン中毒は、生命の危険が生じる心循環器の合併症を呈することがあるので、大量服用は厳に慎むべきである。「カフェインは現代の代表的危険ドラッグである」ので、医療機関、中毒学会、マスコミなどによる啓蒙が今後必要である。