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【インタビュー「飲むべきか、飲まざるべきか、それが薬の大問題」第2回・とりうみ小児科院長・鳥海佳代子医師】

薬剤耐性が世界的な問題に! 抗菌薬の使い方はどうなる?

薬をもらう側の患者の意識変革も重要

 薬の処方については、医師の裁量の範囲が大きい。世代間のギャップもあり、「若い世代の医師では解熱剤を処方しないこともある」と鳥海医師は話す。

 「私も夫も小児科専門医なのですが、薬の処方の方針は違うところがいくつもあります。私は、この手引きに添った抗菌薬の適正使用が医療現場に早く広がっていってもらいたいと考えていますが、医師それぞれの考え方の違いもあり、一気には進んでいかないかもしれません」

 医師も人間。一人ひとり考え方は異なるし、パーフェクトな医師などいないのだ。抗菌薬の適正使用を進めるには、医師をはじめ医療関係者だけでなく患者である私たちも『抗微生物薬適正使用の手引き』を一読したほうがよさそうだ。

 「処方する薬について医師が患者さんに丁寧に説明する努力も必要なのですが、患者さんの意識変革が進んでいかなければ成り立ってはいかないのです」と鳥海医師は語った。
(取材・文=森真希)

鳥海佳代子(とりうみ・かよこ)
とりうみ小児科院長。島根大学医学部卒業。島根大学医学部附属病院小児科や東京女子医科大学病院母子総合医療センターなどでの研修を経て、2000年に日本小児科学会認定小児科専門医の資格を取得。その後、複数の市中病院の小児科に勤務し、小児科専門医としての経験をさらに深める。10年、同じく小児科専門医の夫とともに、とりうみこどもクリニックを開業。13年、とりうみ小児科を開業。「子育て応援の気持ちで」をモットーに日々、診療にあたっている。著書に『小児科医は自分の子どもに薬を飲ませない』(マキノ出版)、『小児科医が教える 子どもが病気のときどうすればいいかがわかる本』(中経出版)がある。

森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。

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