1型糖尿病と2型糖尿病はどう違うのか?
糖尿病には、インスリン分泌がなくなってしまう1型糖尿病とインスリンの効き目が弱くなる2型糖尿病があります。
1922年にインスリンが実用化されるまで、1型糖尿病は発症後半年から1年で亡くなってしまう恐ろしい病でした。インスリンは血糖値を正常に保つために食事に関係なく微量が分泌されていて、これを「基礎分泌」と言います、1型糖尿病の方ではこれがなくなるために、食事に関係なく正常な血糖を保つことができなくなります。
この1型糖尿病の患者さんは、少なくとも基礎分泌インスリンを注射で補う必要があります。発症してからずっと、何年も何十年もです。インスリン注射を打つ場所は、お腹であったり太腿であったりするのですが、ほぼ同じ場所に繰り返し皮下注射を打ち続けます。すると、その場所には皮下脂肪がどんどん増えてくるのです。
つまり、注射器で皮下に投与したインスリンが、食事で過剰に摂取した糖質をその場所でせっせと体脂肪に変えて蓄えているのです。その変化を糖尿病専門医は日常的に目撃しているはずです。
また、重症糖尿病患者さんをインスリン治療すると、治療初期にはほとんどの方で体重が増えます。インスリンは注射した場所だけでなく全身で作用しますから、全身の内臓脂肪も皮下脂肪も増えるからです。
「炭水化物を過剰に食べるとインスリンが追加分泌される」
→「インスリンは体脂肪を蓄えるホルモンだから太る」
これは良く知られたメカニズムだったのです。糖質制限で痩せるのはこのメカニズムの逆になっているだけの話です。
「糖質制限して食後高血糖にならない程度の糖質摂取量に抑える」
→「インスリンの追加分泌がなくなるから太らなくなる」
というわかりやすい話なのです。
さて、さらに、糖質制限で太らなくなるだけではなくて、痩せるのはなぜか? これは簡単に説明すると次のようなメカニズムによります。
①われわれの体が必要なブドウ糖(糖質)を肝臓で作り出すようになるから
②糖質ではなくて脂肪をエネルギーとして使うようになるから
しかし、このメカニズムについて少しきちんとした説明が必要です。長くなりますので詳しい話を次の記事でお話しします。