脳死の解釈によって見解が割れる
ラザロ徴候は、どのように理解するべきだろうか?
脳死の解釈によって見解が割れる。つまり、脳死の推進派はラザロ徴候を脊髄反射とみなし、「脳の機能は残っていない」と主張する。一方、脳死の反対派はラザロ徴候を生命反応と捉え、「脳の機能が深く関わっている」と反論する。
しかし、ラザロ徴候の機序はまだ解明されていない。
『こちら脳神経救急病棟:名医が明かす奇妙な病と患者たちの物語』(アラン・H. ロッパーほか著/河出書房新社)の中で、ロッパー教授は「脳死患者の人工呼吸器が外される段階が来れば、家族などの近親者は病室から退室してもらうのが望ましい。脳死患者の近親者へのインフォームド・コンセントをいかに果たすかが課題だ」とコメントしている。
脳死は死なのか? ラザロ徴候に陥った患者に問い質すほかない。
(文=佐藤博)
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。