3種類の薬剤を4~5年間、併用しけなければならない「肺マック症」!
「肺マック症」を完治する薬はないため、薬物治療が先行する。だが、1種類だけを長く服用すると、薬剤耐性菌が現れ、薬効が失われるので、複数の薬剤が投与される。
結核は原則として約6ヶ月間、薬剤を飲めば完治するのに対して、「肺マック症」は3種類の薬剤を4~5年間、併用しけなければならない。併用する薬剤は、クラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシンの3剤。決められた用法・用量を守って服用する。
咳や痰の自覚症状は服用後1か月程度で治まるが、悪化・再発を防ぐために長期間にわたって服用する。薬物療法によって進行が抑えられ、肺の状態も徐々に改善される。
「肺マック症」は、自然軽快する場合があるため、軽症なら経過観察を行う。入院が必要になるのは、発熱や呼吸困難が重症化している時、血痰や喀血などが続いている時、 薬剤の副作用が激しい時などだ。
ただ、病状が進行し、肺に大きな空洞が生じた場合は、病巣が1箇所に集中していれば手術を行う。薬剤が効きにくい気管支拡張や病巣が散らばっている場合は、抗生物質で小さな病変を抑えてから、手術に入る。(公益財団法人結核予防会複十字病院 www.fukujuji.org/ )
なぜ中高年女性が罹りやすいのだろう?
以前は、男性の陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、じん肺、間質性肺炎などの肺疾患が多かったが、最近は過去に基礎疾患のない中高年女性の増加が顕著だ。何らかの環境要因や罹りやすい体質などの関与は推定できるが、女性に多い理由は明確ではない。すぐ命に関わらないうえ、家族内の感染もないので、正確な臨床上のデータがない。
では、どんなきっかけで発症が見つかるのだろう?
現段階では、肺のCT検査で早期発見できる場合が多い。健診や人間ドックで肺を検査して見つかる人が3割、咳や痰がひどい人が4割、血痰が出た人が3割だ。
最近、大阪市立大学などで「肺マック症」の血液検査「キャピリアMAC」が開発された。従来の検査法の「マイコドット」よりも精度は若干上がっているが、感度はやや低いので、「肺マック症」の経過を十分に反映しているかは未知数だ。
このように、「肺マック症」の抜本的な予防・治療は、研究中のため未解明だ。どのような疾患も、免疫力の低下、自然治癒力の衰退、ホメオスタシス(恒常性)の崩壊が複合化して発症・発病に至る。
となれば、栄養・休養・運動という毎日の生活スタイルの基本に立ち返る他ない。もしも疑わしい自覚症状が少しでもあれば、呼吸器内科などを必ず受診してほしい。
(文=編集部)