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野良犬・野良猫に受難の冬! 「殺処分ゼロ」のドイツやイギリスは民間動物保護団体が活躍

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野良猫や野良犬にとっては厳しい冬が……(shutterstock.com)

 凍てつく酷寒や強風が小さな命を脅かしている。つい最近もペットではないが、佐賀の高校生が庭先にあらわれたアナグマ(狸)を撲殺、血を流して死んだ画像と「バットでフルスイングしてぶち殺してやった」との書き込みをツイッターに投稿したため、非難が殺到している。

 あなたの街にも、名もなき「捨て犬」たちや「捨て猫」たちが生きているかもしれない。だが彼らは、「飼い犬」や「飼い猫」とはまったく異なる悲惨な状況に追い込まれながら、冬空の下で辛うじて小さな命を繋いでいる。

殺処分は年間約8万2900頭も

 飼い主が何らかの理由で飼えなくなったり、飼い主が分からなくなった犬・猫たちは、都道府県の保健所や動物愛護センターなどの行政施設に引き取られる。

 引き取られた犬・猫たちは、飼い主が見つかれば、返還・譲渡されるが、返還・譲渡されない場合は、飼育管理を続けるのは経済的・物理的に困難なため、止むを得ず殺処分される。

 動物の虐待等の防止を定めた動物愛護法が制定された1973(昭和48)年当時は、120万頭以上の殺処分が行われていた。2013年に動物愛護法が改正され、飼い主やペット業者の責任や義務が強化されるとともに、殺処分ゼロに取り組む自治体が増えたため、年々減少傾向にある。

 環境省の調査によると、2015(平成27)年の犬・猫の殺処分数は年間約8万2900頭。その数は激減しているものの、殺処分が続いている事実は変わらない。

 自治体の取り組みや、殺処分ゼロを継続する海外の事例を見てみよう――。

殺処分ゼロを達成した自治体の取り組み

 まず、神奈川県は2013年から2015年の3年間、犬の殺処分ゼロ、2014年から2015年の2年間、猫の殺処分ゼロを達成した。神奈川県によると、正当な理由がない限り引き取らず、動物保護センターへ収容される犬・猫を減らしつつ、ボランティア団体などの協力で保護センターから譲渡する出口を広げた。動物保護センターは、犬・猫にマイクロチップを埋め込み、所有者を明確にしたため、返還率が上がったという。

 札幌市動物管理センターは、2年連続で犬の殺処分ゼロを達成した。毎日新聞によると、ボランティア団体の協力によって譲渡率がアップしたり、収容期間を7日間から無期限に延長したことが大きな要因だ。今後は猫の殺処分ゼロに努めていく。

 2014年に犬の殺処分ゼロを達成した熊本市は、2002年に動物愛護推進協議会を設立。無責任な飼い主への飼養継続を説得したり、返還・譲渡を推進したり、動物ふれあい教室やしつけ教室を開催して適正飼養・終生飼養を啓発する活動に地道に取り組んできた。獣医師会、ボランティア団体などが協力し、活発な里親探しも成果に繋がった。

 2011年に犬・猫の殺処分数が8340頭の全国ワーストを記録した広島県は、今年4月から殺処分ゼロをキープしている。それを支えているのが、広島県神石高原町に本部を構えるNPO法人のピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が運営するピースワンコ・ジャパン・プロジェクトだ。2013年から殺処分対象の犬を引き取ってきた。4月から9月までの半年間で動物愛護センターから引き取った犬は361頭にのぼる。

 2014年9月には、ふるさと納税制度の使途指定先として、神石高原町内に本部を置くNPO法人も選べるように改善したところ、PWJを指定した納税が約1年半で4億円を超えたことも追い風となった。2020年までの全国的な殺処分ゼロの実現に向けて、10月からは「ふるさとチョイス」で寄付金10億円を募っている。

 東京都の場合はどうか? 2015年の犬・猫の殺処分数は979頭。猫が927頭(95%)を占める。公約に「ペット殺処分ゼロ」の実現を掲げている小池百合子都知事は、8月にフリーアナウンサーの滝川クリステルさんと対談し、「2020年東京五輪・パラリンピックをひとつの期限とした上で、東京都でいい例を示せるようにしたい」と話している。

 このように、「殺処分をなくそう!」の機運やコンセンサスが全国的に高まっている。次に海外の動きを見てみよう。

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