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【連載「死の真実が〈生〉を処方する」第31回】

日本人の約3割が「お酒を飲まないのに脂肪肝」 10年間で患者が約3倍に増加

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非アルコール性脂肪性肝疾患の患者が10年間で約3倍に(shutterstock.com)

 お酒をよく飲む人は、肝臓に脂肪が溜るため、肝臓機能障害や脂肪肝などを指摘されることが少なくありません。

 ところが、お酒を飲まない人でも肝臓に脂肪が溜まる、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」という病気があります。

 健康診断でよくあるのが、次のような医師とのやりとりです。

 「○○さんは、お酒を飲みますか?」
 「ええ、ほぼ毎日飲みますね」
 「お酒の飲みすぎで肝臓に脂肪が溜まっています。飲酒はほどほどにしてくださいね」

 この「ほどほど」は、医学的に1日1~2合を指しますが、酒飲みがそれを守るのは至難の業。医師自身が<酒飲み>だと厳格な指導をするが心苦しいのか、「ほどほど」というコトバを使うのです。かくいう私もですが……。

 一方で、「私は全く酒を飲みません」という人もいます。そのような人に対して医師が告げる診断名は、「非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease)」。英語名の頭文字をとって「NAFLD」と呼ばれ、近年その患者数は増加しています。

 今回は、非アルコール性脂肪性肝疾患を予防・治療する重要性について説明します。

10年間で約3倍に増加した非アルコール性脂肪性肝疾患とは?

 「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」とは、普段はほとんど酒を飲まないのに、超音波やCT、あるいは組織検査で脂肪肝が認められ、かつ、ほかの原因となる肝臓の病気が否定された状態である。

 最近の調査では、日本人のなんと29.7%がこの病気に羅っており、国内に2000万人以上の患者がいます。ほかのアジア諸国でも同様の割合で患者がいるそうです。ちなみに、欧米諸国の有病率は20~40%の間です。

 驚くべきことは、近年、この病気の患者が増え続けていること。ある研究によれば、日本では10年間(1994〜2004年)で約3倍に増加したといいます。その背景には、肥満者の増加が関係しています。

 「メタボリックシンドローム」と呼ばれる病態は、内臓脂肪型肥満(ウエストの周囲径が、男性は85cm以上、女性は90cm以上)に加えて、高血圧(135/85mmHg以上)、高血糖(空腹時110㎎/dl以上)、脂質異常症(中性脂肪150㎎/dl以上、または、HDLコレステロール40㎎/dl未満)のうち2つを合併した状態です。

 このメタボの状態を肝臓から見たのがNAFLDです。すなわち、内臓に脂肪が蓄積するような過剰な脂質の摂取などで、肝細胞に供給される脂質と代謝のバランスが破綻し、供給過剰になり、肝細胞に過剰な脂肪が沈着するのです。

 そのため、NAFLDの性別・年齢別の有病率は、日本人における肥満人口をそのまま反映しています。男性では30~40代をピークに、その後、60歳までは40%前後と、ほぼ一定で高い有病率です。

一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。社会医学系指導医・専門医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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