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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第25回】

温泉に注意!!北海道の温泉旅館で「硫化水素中毒」が原因で脳機能障害!清掃業などでも死亡事故多数


 

温泉での硫化水素中毒発生を防ぐために

 硫化水素中毒の労働災害発生状況については、厚生労働省労働基準局の統計によると、平成6~25年には72件あり、業種別では清掃業が27件、製造業が25件、建設業が12件。死亡者数は53名であった。

 平成25年には、漬物を保管したビットの中に入って漬物を搬出していた時に意識消失し、2名が死亡。また有機物除去を目的に汚水槽内で作業中に意識消失し、救助に向かったもう1人も二次災害に巻き込まれ死亡した事件もあった。そのほか、下水道管内での作業中の事故、養豚場の糞尿をためる貯湯槽内での作業中の被災例が報告されている。

 致死率が高い硫化水素中毒による労働災害を未然に防ぐためには、硫化水素濃度測定などの作業環境の点検、換気、送気マスクの装着などを徹底させることが必要である。

 日本には硫黄泉を含む多数の良質の温泉があり、私たちを心身ともにリラックスさせてくれる。

 しかし、温泉旅館のみならず、その付近には、硫化水素中毒が発生する危険性の高い場所がたくさん存在することを忘れてはならない。さらに、行政機関などが、浴室内の硫化水素の濃度管理や換気に関する厳しい基準の設定、施設への調査を徹底することが必要であろう。 


連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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