痛くても鳴き声を出さないウサギで実験(shutterstock.com)
9月20~26日、全国の自治体で「動物愛護週間」のさまざまなイベントが催される。
「ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深める」のが目的だ。
これらのイベントでは、イヌやネコなどのペットに焦点が当てられがちだが、いま波紋が広がっているのは、<動物実験>の是非だ。
私たちのカラダに取り入れられる製品の安全性は絶対だ。しかし、医薬品や薬品、化粧品、食品添加物……市場に出ている多くの製品は、実験動物の犠牲の上に成り立つ。
これらの安全試験に使われているのは、マウス、ウサギ、モルモットのほか、イヌやサルなど。これら実験動物は<使い捨て>だ。日々、実験に使われては<廃棄>される。
ところが、「化粧品のための動物実験は不要ではないか」というムーブメントが世界的に起こっている。
ウサギの眼球がただれる様子を観察
化粧品のための主な動物実験は、ひとつは「ドレーズテスト」(眼刺激性試験)。眼への刺激を確認するために、動物の片目に薬品を入れ、もう片方の目との反応を比較する。
ウサギは、涙の量が少なく薬品が流れにくいので、よく使われる。動かないように頭を固定され、まぶたをクリップ止めされ、薬品で眼球がただれる様子を観察する。
あまりの痛さにもがき死ぬウサギ、暴れて首の骨を折って死ぬウサギも多いとされる。痛くても、鳴き声を出さずに静かなのも、ウサギが適している理由だ。
皮膚刺激の試験も、化粧品開発においては重要だ。実験動物の毛を剃り、背中に薬品を塗り、皮膚の損傷具合を観察する。この実験は、何日かかけて行い、時間の経過に伴って、炎症を起こしたり、水ぶくれがひどくなったりする様子を見ていく。
毒性が強いと、皮膚が焼けただれたりして、実験半ばで死ぬ動物もいる。よく使われるのは、モルモットやウサギだ。
現在の化学技術なら、コンピューターや培養細胞を用いた実験で十分に代替できる。あるいは、すでに安全性が確認されている原材料も山ほどある。はたして、私たちがキレイになるために、動物の犠牲はいるのか? その答えのカギは、諸外国にある。