AKBとHBMが絶妙なコラボ
また、『がんとともに、自分らしく生きる/ 希望をもって、がんと向き合う「HBM」のすすめ』(きずな出版)のあとがきで、著者・高野利実氏(虎の門病院臨床腫瘍科部長)はこう綴っている。
<がんが全身に転移したとしても、人間の「心」には、がんが転移することはありません。病気が、心の自由や笑顔を奪うことはありません。/ パッチ・アダムスが言うように、病気があろうとなかろうと、誰もが幸せになることができるのであって、医療というのは、そのためにあります。>
同書は、読売新聞の好評連載コラム『がんと向き合う~腫瘍内科医・高野利実の診察室』を一冊に編んだもの。高野氏はまさにEBM(evidence-based-medicine : 根拠に基づく医療)という言葉が流行り始めた頃、医者になった世代に属する。
副題にもあるHBM(human-based-medicine : 人間性に基づく医療)とは、EBMをもじって高野氏が造語し、「一人ひとりの、その人なりの幸せ」を目指す自らの指針を表わしている。
完治が望めない進行がんの患者に対して、「人間本来の可能性を信じて」と題したあとがきの最後を、高野医師はこう括っている。
<愛とフォーチュン(幸運)をすべての人間に!>
前者の岩田健太郎氏が1971年生まれ、後者の高野利実氏が1972年生まれ。このEBMの申し子世代が「情報難民」の患者に新たな希望の光を指し示す存在になるかもしれない。
じつは高野医師、世界中で話題を呼んだ(再生回数60万回超!)ある動画内の1場面で一瞬だがダンス姿も披露している。
それは日米のがん医療に携わるスタッフ陣が患者らを励まそうと、かのAKB48のヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」に合わせて踊ったもの。
日本側からは東京・大阪・京都・神戸のがん専門スタッフが総勢243人参加し、計46パートを数珠つなぎで競演している。時代は変わる、それは医療現場も例外ではない。そんな新しい息吹を感じたければ、ぜひ、
(文=編集部)