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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第20回】

慶応病院の麻酔科医が危険ドラッグを輸入! 不法薬物に溺れた医療者の実態

もし医師が危険ドラッグを使用していれば……

 以前にも、中国から危険ドラッグRUSHの含有成分である亜硝酸イソブチルを大量に輸入した63歳の男性医師や、がフィリピンより覚醒剤の成分である合成ケタミン(錠剤)を輸入した某県の市民病院の医師、米国より危険ドラッグを輸入し45歳の男性医師などが逮捕されている。

 国内の不法組織などと覚醒剤や麻薬を売買して問題となった例は過去にも報告されているが、インターネットの普及によって個人で容易に危険ドラッグを入手できるようになったことは極めて危険である。

 もし医師が危険ドラッグを自身で使用していれば、診療行為を行う際に患者に対して悪影響を及ぼしかねない。また大学内や病院内での危険ドラッグが拡散する可能性もある。ドラッグを他人に販売したり、不法組織との結びつきができ、人生の破滅に追い込まれことも十分考えられよう。

 医師はドラッグの有する危険性を十分認識しているはずである。それを承知して、ドラッグに手を染めることは絶対に避けねばならない。インターネットで輸入しない、使用しないことを肝に銘じるべきであろう。 

 インターネットは私たちに国内外の政治、経済、スポーツや娯楽など、あらゆる分野の現在進行形の情報を提供し、いまや新聞・テレビと肩を並べるほど社会に貢献している。また通信販売など有益な情報を利用して、実生活に役立てることも可能だ。

 しかし、危険ドラッグなどの社会に悪影響を及ぼす情報も私たちは容易に取得でき、利用者を危険な立場に追い込んでしまうこともできる。いわば諸刃の剣だ。本稿で述べたようなインターネットの悪用を防ぐことは、これからの重要な課題である。取り締まりを強化させ、悪しき情報を流さないような何らかの規制を設ける必要に迫られている。 


連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

横山隆(よこやま・たかし)

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリニカルトキシコロジスト、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。
1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長などをへて現職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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