最も商品が売れる甘味料の〝至福点〟とはなにか?
映画では、実験中に先住民族アボリジニのコミュニティを訪ねている。そこは自給自足生活が長く、砂糖の摂取量が極めて少ない地域だった。西洋の食文化が入り込み、かつてコカ・コーラ社が「世界一の売り上げ伸び率」であると発表された場所でもあるのだ。結果として住民の肥満や心臓病が多発する地域に変わってしまった。
また、3人に一人が肥満という“砂糖大国”アメリカへも取材に飛び、ニューヨークではピューリッツアー賞受賞の作家マイケル・モスにインタビューする。巨大な食品メーカーが、最も売れるための甘味料の最適値を見つけるための実験を積み重ね、その値を〝至福点〟と呼び、実際の商品の甘さに利用している現状などを聞き出す………。
上映のため来日したガモー監督はこう話す。「砂糖がすべて悪だということではない。しかし、本来、人間は自然の食物から摂取できる糖質で十分だった。この映画を作ってからは娘の食べるものに十分に注意をしている。親という存在は、自分の子供たちだけではなく未来の世代に大きな責任を持つ。食べ物において正しい選択をするだけで身体的だけではなく、精神的にも健康な生活を維持できるということをもっと理解して欲しい。」
毎日、当たり前のように摂取している大量の砂糖。われわれはその甘さに慣れすぎ、無自覚になっていないか?
(文=編集部)