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その薬大丈夫? 認知症患者への向精神薬などの多剤併用がますます症状を悪化させている!

認知症の治療は薬とケアのマッチングこそが重要

 認知症患者に対して必要以上に大量の薬を飲んでいる多剤併用と不適切処方の問題がここ数年大きくクローズアップされている。当然のことながら薬には副作用や相互作用があるのだ。

 東大病院老年病科の入院患者2412名を対象にした調査では、多剤併用になればなるほど副作用が現われる率が高くなるという結果が出ている。1種類の薬で現われる副作用は5%前後だが、服用する薬が6種類を超えると15%近くまで跳ね上がるというものだ。
「認知症の場合、向精神薬の多剤併用による副作用で病状が悪化するケースが少なくありません。もともと日本では精神疾患に対して薬を多く出す傾向があります。」と高瀬医師は説明する。

 認知症の人の場合、自分の症状や服薬後の身体の変化を第三者に具体的に伝えることがかなわない。そうすると表面的な言動のみを家族が医師に伝え、見込みでどんどん新しい薬が処方されてしまう。

 高瀬医師はこの2月、10年以上にわたる在宅診療の実績から浮き彫りにされた認知症患者での多剤併用の実態と症状の改善のための〝ケアと薬の適正化〟を『認知症、その薬をやめなさい』(廣済堂出版)として上梓した。

「診療所を開いた当初、地域ではがんの治療に携わっていた多くの外科系医師が在宅医療に入ってきていた。日々の在宅診療を積み重ねていくうち、地域の医療ニーズとして認知症ケアのほうが多いとわかった。そして、なかでも薬とケアのマッチングこそが必要だと早い時期に気がつきました」と高瀬医師。

 現場の手ごたえとして感じ取ったのは「チーム・モニタリング」の重要性だった。つまり医師、薬剤師、看護師、さらには介護スタッフが連携し、それぞれの立場で集めた患者さんの状態に関する細かな情報を集約し、総合的に評価して適切な薬と投与量を見極める体制の確立だったと言う。

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