トクホコーラは「脂肪の吸収を抑える」と表示しているが……
ところで、この臨床データの意義を、もうひとつ別の視点から問うなら、たとえば薬であればランダム化比較試験(RCT)は有効だろうが、食品で綿密なRCTができるのだろうか? 薬のように偽薬を使えるわけでもなく、ましてや人によって栄養摂取の異なる状況で、複合成分である食品の効果を単一成分で計るというのは、なかなか困難ではないか、と素人は考える。
さらに、単一成分の効果をもってその商品の健康効果を謳う、というのもよくわからない。
たとえば、トクホコーラは「脂肪の吸収を抑える」と表示して、「若鳥の唐揚げや餃子を食べてもトクホコーラを一緒に飲めば大丈夫!」といったアピールをしているが、その効果の由来は「難消化性デキストリン」、つまり食物繊維で脂肪の吸収を多少抑えるといったものだ。当然、コーラはすべて難消化性デキストリンでできているわけではない。
ちなみに、トクホには、難消化性デキストリンの効果を謳った商品が山ほどある。つまり、「トクホ」と銘打つためのとても便利な添加物が難消化性デキストリンということになる。そしてその添加物の効果が、国のお墨付きで金科玉条のごとく語られるのにはどうも抵抗がある。
本来、食品を単一成分の機能性で切り取って、そこだけを強調し、ややもすると「薬」のようにふるまうことは、食品の役割ではない。食品にいろいろな機能性があることは確かなことだが、それをどのように伝えれば消費者が正しく利用できるかを、もう一度考え直してみてもいいのではないか、と思う。