脳疲労を蓄積させる過度の長時間労働
折しも2015年12月から、労働安全衛生法が改正され、従業員が50人以上の事業所では、自分のストレスの程度や傾向をチェックする「ストレスチェック」が義務づけられるようになった。
事業所によっては実際に実施したところもそろそろ出始めているだろう。もし、ストレスが高めの数値で推移していることがわかった場合は、自分では自覚していなくても、長年の「脳疲労」がたまっているケースが多いと思われる。ぜひ注意したい。
『「脳疲労」社会』の記述によれば、慢性的な脳疲労の原因は長時間労働にあり、日本の労働生産性は、OECD加盟国34カ国中22番目に留まるという。
徳永氏は、脳疲労を防止し、家庭を望ましい状態に維持するためにも、「会社で使うエネルギーは70%にとどめ、家庭のために30%のエネルギーを残しておく」ことを提案する。
これも本書によれば、労働政策研究・研修機構が約2400の起業と約8900人の労働者の残業時間の効果について2015年に調査したところ、「残業時間の長い社員が早く昇進している」と回答した企業は4.8%に留まったそうだ。
長く働き続けるためにも、脳疲労を蓄積させる過度の長時間労働は禁物だ。会社全体で、不毛な残業を避けるムードを作っていくことが、社員の健康にもつながることを心得ておきたい。
(文=編集部)