米国のトウモロコシの93%が遺伝子組み換え作物(GMO)(shutterstock.com)
日本のビールは、副原料として、米、コーン、スターチを混ぜているものが多い。代表的な銘柄はスーパードライ(アサヒビール)、キリンラガー(キリンビール)、黒ラベル(サッポロビール)である。
コーンはトウモロコシで、スターチはトウモロコシのでんぷんのこと。ビール製造に副原料を使う最大の理由は、醸造期間を短縮することで製造コストを抑えられるためだ。スターチ(でんぷん)がアルコール発酵の促進役を果たすのである。そのうえ、でんぷんはアルコールに変化するから麦芽の量も抑えられるメリットがある。
また、ビール各社は、ブドウ糖液糖を使った清涼飲料水も各種製造しているが、このブドウ糖液糖の原料となるのは米国産トウモロコシである。
そこで気になるのは、遺伝子組み換えトウモロコシの使用の有無だ。日本国内で消費されるトウモロコシの84%は米国から輸入され、飼料や食品、食品添加物の原料に使用されている。そして、米国内で栽培されるトウモロコシの93%が遺伝子組み換え作物(GMO)となっている。
一昨年までビール各社は、分別された(GMOではない)米国産トウモロコシを輸入してスターチやブドウ糖液糖を製造していたが、現状はどうなのか?
2015年2〜3月から遺伝子組み換えトウモロコシが
昨年11月に生活クラブ生協や市民グループで構成される「たねと食と人@フォーラム」が、キリン、アサヒ、サッポロ、サントリーに出した公開質問状の回答をホームページで公開した。
それによると、コーンとスターチに関して、キリン、アサヒ、サッポロは非遺伝子組み換えトウモロコシを使用。サントリーは、コーンもスターチを使用せず。問題はブドウ糖液糖で、4社が不分別のトウモロコシを米国から輸入して使っている(サントリーは一部分別)。
GMOを使い出したのは昨年2〜3月で、その理由は、「調達環境が厳しく、安定調達のため切り替えた」(キリン)、「安定調達のため2015年3月より使用」(アサヒ)、「国が安全確認している。表示が必要なものを使った場合は表示する」(サッポロ)、「長期的に原料を確保するため、2015年3月より使用」(サントリー)となっている。