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【インタビュー「日本初の口臭外来を開設。全国から7000人以上が受診する口臭治療のパイオニア」第3回 ほんだ歯科・本田俊一院長】

口臭は「セルフコントロール」できる! ポイントはサラサラした「だ液」の分泌量を増やすこと

ストレスが舌を動かなくする

 いっぽうストレスがあると、舌が動かなくなり、ドライマウスを招くという。

 「ストレスがあると、どうしてもうつむきます。人間、うつむき加減になると、奥歯を噛むので、舌が動きません。だから目線は、水平がよいのです。自転車に乗るとき、みんな前を見るでしょう。あれぐらいが、いいのです。『歩くときは、自転車の目線で』と私は、よく患者さんにいっています」

 それから、もうひとつ。飲み物にも注意してほしいという。

 「飲み物は水にしましょう。水が、だ液を分泌しやすくするのです。毎日水を飲みましょう。お茶やコーヒーを水に変えてみるのもいいでしょう。カラオケに行ったら、歌って存分に舌を動かし、水を飲むというのが、だ液分泌にはおすすめです」

 とにかく、「口の中が乾いているな」と感じたら、ガムを噛むまねをしたり、目線を水平にしたり、誰かに話しかけたりして、だ液の分泌量を増やし、口の中で唾液の流れを作りましょう。こうすることで口臭が防止できるのだ。

お経にも書いてある歯の磨き方

 とはいえ、だ液がサラサラでも、虫歯や歯周病があると臭いの元になる。また、全ての病気はドライマウスを引き起こすという。口の中だけでなく、全身も健康であることが、口臭防止の第一歩だ。

 ところで、口臭を気にすることは非常に現代的な感じがするが、じつは、口臭エチケットの歴史は、2500年もさかのぼるという。

 「紀元前5世紀の人。かのお釈迦様も、口臭をコントロールしなくてはいけないと言っています。お釈迦様は、弟子に歯木の枝で歯を磨くように悟され、経典にも載っています。それによると、口臭予防のために、起きてすぐ磨きなさいと教えています」

 起きぬけの最も悪玉菌が繁殖しているだ液を捨てて、フレッシュな息に整えることが、朝の身だしなみであり、修行であったのである。
(取材・文=増澤曜子)

本田俊一(ほんだ・しゅんいち)

日本口臭学会常任理事・指導医、医療法人ほんだ歯科理事長・院長。1980年、山口大学農学部獣医学科卒業後、厚生省(現・厚生労働省)に入省、8年にわたり検疫業務に携わる。業務の傍ら大阪大学微生物病学研究所において腸管感染症の基礎研究も行なう。退官後、大阪大学歯学部に学士編入し、卒業後、歯科医院勤務を経て、95年、ほんだ歯科を開業。97年、医療法人ほんだ歯科を設立。歯科医師として臨床に携わることで口臭に悩む患者の多さを目の当たりにし、「口臭・口臭症」の研究に取り組む。2000年には口臭のデオドラント技術および口臭症治療に関するプロトコル「ほんだ式口臭治療」を確立。口臭に関する第一人者として知られる。

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