厳しい罰則を課した先駆的法律でフランスの廃棄事情が変わる
話題をフランスに移せば、現地時間の2月5日から今後の世界の趨勢を先取る法規制が実施された。新たな法律が適応される対象は売り場面積400平方メートルを超える小売店だ。
廃棄予定の食品は慈善団体に寄付するか、家畜用の肥料・農業用の堆肥として転用することが義務付けられた。
違反すれば毎回3750ユーロ(約48万円)の罰金が科せられる。さらに大型店舗やチェーン展開系店舗の場合は、今年7月の期限でフードバンクとの個別契約も義務付けられており、違反金は最大で7万5000ユーロ(約1000万円)、ないしは懲役2年と手厳しい。
ちなみにこれまでは、期限切れの食品に大量の漂白剤を投入して溶解させ、下水処理されていた。
業者は「法規制されたらね」と嘲笑
法案化を推進したのは、イラン革命時(1979年)の亡命2世であるアラシュ・デランバーシュ市議(36)の署名活動だ。食費の工面にも悩んだ苦学生時代の体験が、彼を動かした。
市議1年生でストア視察した際、廃棄食品の盗難防止用に施錠されたゴミ箱や化学薬品による処理現場を多数目撃したという。
生活困窮層への無償提供を業者側に打診してみたところ、「法規制されたらね」と半ば揶揄された現実が、SNS上での署名運動を決意させた。同市議は、第二次世界大戦を体験した日本人の食料を尊ぶ想いも鑑みて、「日本人もきっと現状を変えられるはず」と談話している。
わが国では近年、スマホ世代の主婦層を中心にレシピ紹介系サイトが大盛況だ。だが、いざ食材購入で売り場に向かうと、ストアごとの包装量がバラバラで、レシピ上の分量との齟齬を覚える例も少なくない。
高齢・少子化で「個食層」も急増中の昨今、小売り側ももっと計り売りやバラ売りを工夫しても良いのでは、といつも思うのだが……。
(文=編集部)