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いまや国民病の「がん」の早期発見が「国民総医療費」の削減に?

検診率100%の“国民病”対策を!

 Ⅰ期のがんであれば手術か放射線で局所制御が可能なため、高い薬を使わなくて済む。

 「ところが、がんが進行したり、全身化すると基本的に抗がん剤治療も必要になってきます。しかも現況の抗がん剤はほとんど総てが輸入薬品であり、年間輸入額は2兆5000億円以上」

 「今でさえ輸出入インバランスの大きな要因の一つであるのに、これでTTPが発動されれば倍の、5兆円になるかもしれません」と會田さん。

 ここにも格差問題が忍び寄る。會田さんは、がん対策推進基本計画(厚生労働省)の目標、検診率50%にも異を唱える。

 「結核で死亡する人の数が年間2000人強とされるのに比べ、がんによる死亡者数はその200倍に近い約40万人ですよ。今や“国民病”として国が先頭に立ってがん対策を講じる段階だと思います」

 「感染症法によって行なわれている『結核検診』のような強制力の伴った体制作りが問われている。50%目標ではなく、100%検診を目指すべきじゃないでしょうか」

早期がんの発見は検診しかない

 今や国民総医療費は、国家予算の半分に相当する40兆円で増加の一途。国民全員のがん検診を全額公費負担するという案には、抵抗や反論も多いだろう。

 その大胆な予算投入が、やがて健保財政の費用減殺効果を生むと「市民のためのがん治療の会」は主張している。

 「とにかく早期がんを発見する手立ては検診を受けるしかない。検診が受けやすい環境を整える事が肝要なわけですから、当面は保険収載して個人負担を軽減させることとし、徐々に全額公費負担へと移行するよう国に求めたいですね」と、會田さんらは考えている。

 かつての白血病からの復活劇で知られる渡辺謙さん。今回の直筆公表文も<私、渡辺謙は先日受けました人間ドックで早期の胃癌を見つけて頂きました>という丁寧な書き出しで綴られていた。

 こういう不幸中の幸いや安堵感、諦めない気力や希望が格差を越えて一律に持てる社会の体制作りこそが今、問われているだろう。
(文=編集部)

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