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【シリーズ「子どもの心と体の不思議のサイエンス!」第18回】

話したくても話せない!? 赤ちゃんは「話す」よりも早く「意味」を理解している

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赤ちゃんが言葉を話し始めるのは1歳のころ/shutterstock

 赤ちゃんが最初に発声するのは生後2カ月ころ、言葉を話し始めるのは、ほぼ1歳のころだ。この10カ月ほどの間に、赤ちゃんの脳は、言葉の機能、発声の仕組みなど、心と体のネットワークづくりを急いでいる。

 赤ちゃんは、どんな風に言葉を覚えるのだろう? お母さんからの語りかけ、お父さんとお母さんの会話、周囲の人の話し声、テレビなどの音声……。赤ちゃんの周りは、さまざまな言葉が満ちあふれている。だが、赤ちゃんは言葉を話すまでに時間がかかる。なぜだろう?

赤ちゃんは話したくても話せない?

 その答えの一つは、喉の構造だ。大人と赤ちゃんでは、口腔内や喉の構造が異なる。大人は、口腔の奥の空間が発達しているため、声帯から生じた空気の振動を共鳴させることができる。しかも、音声をつくる筋肉、粘膜、舌、唇の筋肉も十分に発達している。

 一方、赤ちゃんは、舌や顎の筋肉、粘膜の発達が未熟なので、音声の微妙な調整ができない。さらに鼻腔と口腔の境目にある軟口蓋(のどちんこ)が喉の奥に落ち込んでいるため、声帯から生じた空気の振動を十分に共鳴させることができない。このように、生後間もない赤ちゃんは、声帯、喉、粘膜、舌、唇などの筋肉が未発達なことから、言葉を音声化するのが遅れるのだ。

 生後2カ月ころ、赤ちゃんは「クークー」「アーアー」まどの声を発するようになる。これをクーイングと言う。「クークー」「アーアー」にお母さんが応えると、赤ちゃんは返事を期待して「クークー」「アーアー」を繰り返すようになる

 4カ月ころになると、ニッコリと微笑んだり、声を出さずに笑っていた赤ちゃんは、「アハハ」「キャハハ」と笑い始める。喉が発達してきた兆しだ。

 6カ月ころになると、破裂音のパ音や濁音のダ音がスムーズに出る。「パー」「ダダダダダダ」……大人には無意味な音に聞こえるが、赤ちゃんの重要な発声練習だ。この時期の言葉を「喃語(なんご)」と言う。

 10カ月ころになれば、自分が興味のあるモノを指さしして「アーアプー」「ンダッババッ」などとかなり発声がはっきりしてくるので、お母さんとのコミュニケーションがとりやすくなる。たとえば、赤ちゃんが指さししたモノを、「あれはクマさんですよ」と答えれば、赤ちゃんはモノと言葉の関係を理解し、深めていくことができるようになる。

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