米・精神医学会が定めた精神疾患の診断基準である「DSM-5」には、「窃盗症」という診断名があり、その診断基準は次のようになっている。
A.個人用に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
B.窃盗に及ぶ直前の緊張感の高まり。
C.窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感。
D.その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、妄想または幻覚への反応でもない。
E.その盗みは、素行症、躁病エピソード、または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。
パンツ大臣にも余罪疑惑が……
今回話題になった高橋容疑者の事例が、明確にこの診断基準にあてはまるかどうかは微妙だ。しかし、盗みに及ぶ際の緊張感に快感を覚えていたのでは、という示唆を与えてくれる点では注目する価値があるだろう。
高橋容疑者は所属事務所から契約を解除され、コンビは解散を余儀なくされた。おそらくお笑いの世界に復帰するのも難しいだろう。盗みのスリルがもたらした代償は、あまりに大きかった。
“下着ドロボー”と言えば昨年10月、第三次安倍内閣で初入閣した某大臣に、過去の「パンツ窃盗疑惑」が持ち上がった。
「30数年前に女性宅のベランダで、下着を持っているところを通報で駆けつけた署員に取り押さえられた」「女性が被害届を出さなかったため、逮捕はされず、事件にもならなかった」というものだ。
今年1月、地元紙の一面トップに、当時の事情を知る「元捜査関係者」が「窃盗疑惑は『事実』」と証言したとの見出しが躍り、疑惑が再燃している。「窃盗症」は「衝動に抵抗できなくなることが繰り返される」というから、某大臣も余罪を疑われても不思議でない。
(文=編集部)