たとえば、バスケットボールの秋田県立能代工業高等学校、最近では明成高等学校 (宮城県)、高校駅伝の広島県立世羅高等学校、仙台育英学園高等学校、一世を風靡した福島大学陸上部、男子バレーボールの東海大学、最近では“石川効果”で実力人気ともにナンバーワンの中央大学など、さまざまな“常勝・強豪”チームがある。
おそらく各チームのなかには必ず、技術面をサポートするコーチ、肉体面のフィジカルコーチ、体のケアを担当するトレーナーなどの役割を果たす人間がいて、総合的なチーム作りをしているはずだ。
そして、「青トレ」のような体幹トレーニング、自らで考えるという練習方法も昔からあった。どの時代でも強豪チームは、それに類似するトレーニングを脈々とやってきたに違いない。
チームや仲間を結び付ける “情熱”
だが、それでも「いつかは敗れる」のが競技である。陸上のように“個の力”に重点を置く競技と、組織的な部分にもかなりウェイトを置く団体競技では、その特性の違いによってその内容は変わってくるだろうが。
青学大にも東海大学同様に以前から充実したトレーニング設備があったし、指導者もいた。だが、同じトレーニング内容でも、ちょっとしたきっかけで変化が生じる。青山氏という「新しい風」が吹いたのだ。
青学大の成功の元になったのは、勝つために“変化が必要だ”と感じて、中野氏を招いた原晋監督の采配だ。そして、日本の指導者のなかでは非常に丁寧に、常に選手の立場で指導することに徹する中野氏の技量によるものだと思う。
さまざまなトレーニング方法はあるが、いずれも大切なのは、「何のため」「どこに意識をするのか」「どれが正しいのか」「何が間違っているのか」「どうありたいのか」……。チーム、仲間を結び付けるのは、これらをしっかり話ができる“情熱”だと思う。
そんな指導者と監督、そして選手たちがそろったときに、“新しい風”という化学変化がおきて時代が変わる。たかがトレーニング、されどトレーニング、本当に奥が深い。