上腕骨や大腿骨など、手足を構成している長い長管骨(ちょうかんこつ)は、身長と密接な関係があるので、骨から身長を割り出せる。個人差はあるが、世界各国の統計的な調査研究が蓄積したデータベースに基づけば、上腕骨や大腿骨などの長管骨から骨の持ち主の身長を推定できる。計算してみよう。
推定身長をX(cm)、上腕骨や大腿骨の最大の長さをY(cm)とすると、その計算式は「X=81.036+1.880×Y」となる。たとえば、大腿骨の最大の長さが45cmなら、推定身長は、およそ166cmになる。また「X=61.41+2.38×Y」という計算式もあるので、代入すると、推定身長は、およそ168cmになる。
これらの計算式によれば、推定身長の誤差は1〜2cm! 驚異的だ!
推定身長は、上腕骨や大腿骨のほか、脛骨(膝と足首を繋ぐ骨)、とう骨(前腕親指側の骨)、尺骨(前腕小指側の骨)などからも測定できる。
また、骨(骨髄)には血液型抗原が含まれているので、ABO型血液型が分かる。白骨化していても、骨にDNAが残っていれば、DNA型鑑定も可能だ。
『旧約聖書』をひも解けば、アダムの肋骨からイブが作られたとある。神話としても、もしもアダムとイブの白骨が発見されたら、2人の身長も血液型もDNA型も丸裸になって見えてしまう。見つからない方がいいかもしれないが……。
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。