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【シリーズ「恐ろしい飲酒習慣」第10回】

極限まで落ちないと気づけない「アルコール依存症」は自力では治せない! 抜本的な治療法は「断酒」だけ!

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断酒以外に治療の選択肢はない(shutterstock.com)

 このシリーズでは、長期間・大量の飲酒習慣の恐ろしさを繰り返し強調してきた。だが、酒を「分かっちゃいるけどやめられねぇ〜」のは、なぜなか? 今回は、アルコール離脱症状について、その治療と断酒について話そう。

不快感から逃れようとすればするほど酒に溺れるアルコール離脱症状

 飲酒を反復し続けると現れるのがアルコール離脱症状だ。アルコール離脱症状とは、血中のアルコール濃度が下がる、つまりアルコールが切れてきた時に起きる退薬症状のこと。自律神経の失調、情緒障害、手の震え、幻覚などの症状を伴う。起きる時期によって、早期離脱症状群と後期離脱症状群に分かれる。

 早期離脱症状群は、飲酒をやめて数時間後に現れる。手や全身の震え、発汗、寝汗、不眠、吐き気、嘔吐、血圧上昇、不整脈、焦燥感、集中力の低下、幻覚(虫の幻)、幻聴、てんかん様痙攣発作などを伴う。てんかん様痙攣発作は、断酒後2日以内に起きる。

 後期離脱症状群は、飲酒をやめて2~3日後に現われ、幻視、自分の居場所や時間が分からなくなる見当識障害、興奮、発熱、発汗、震えなどを伴う。これらの離脱症状による不快感や嫌悪感から逃れるために、さらに酒をあおり続ける。アルコール離脱症状は、アルコール依存症をさらに悪化させ、後戻りができない闇へ陥れる。

 『アルコール依存症を知る!』(ASK)の著作がある森岡クリニックの森岡洋院長によれば、アルコール依存症は、放置すると肉体的な疾病や社会的なトラブルを起こしながら、長時間をかけてゆっくりと進行し、必ず死に至る。入院中の患者は、30歳前後に発症し、40代で精神科に入院後、50歳代で死亡する患者が少なくない。平均年齢52歳というデータもある。

 アルコール依存症は、数々の重篤な合併症を伴う。肝炎、肝硬変、すい炎、すい臓がん、急性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、アルコール性心筋症、心筋梗塞、心不全をはじめ、ビタミン・ミネラル欠乏症、アルコール性末梢神経障害、ウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群、アルコール性小脳失調症、認知症、アルツハイマー病、うつ病……。数え上げれば枚挙に暇がない。

根本的な治療法はない!断酒の決意だけが回復の第一歩!

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