先述のエリジウムスペース社がベンチャー系では稀な最速での海外進出先を日本に定めた背景には、①高齢化先進国であり、②火葬文化の根付きと終末観の多様化があったという。
カプセルが地球の周りを巡る期間(3カ月から数年間)は打ち上げられた衛星の最初の角度で左右されるが、やがて美光を伴って大気圏に突入しては流れ星のように想い出と消える……。
村上春樹氏が長編小説『スプートニクの恋人』でも描いたライカ犬は、地球軌道を最初に周った動物。北欧映画『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』の少年主人公は、「人工衛星に乗せられて死んでいったライカ犬より、僕の人生のほうがまだ幸せだ……」と自らの薄幸ぶりを慰めていた。
「下流老人」「老後破産」と負の高齢用語が流行る中、墓地の価格高騰、檀家激減、菩提寺倒産、派遣僧侶・牧師の隆盛などなど、今世紀の「死」をめぐる世相は、いまが正に端境期。だがしかし、終の住処さえままならない下流予備層には、これもまた夢のまた夢、雲上物語なのか……。わが国の下流予備軍や老後破産組は、むしろ夜空に散ることを熱望してる!?
(文=編集部)