"妊活中"の男性は鶏肉を食べよう! リチャード/PIXTA(ピクスタ)
近年の晩婚化にともない、日本では不妊治療を受けるカップルが年々増加している。2013年に行われた体外受精は、36万8000件余り。10年前の3倍以上に増え、過去最多を更新している(日本産科婦人科学会のまとめ)。
一方、治療の結果に産まれた子どもの数は4万人余りと治療件数の1割ほど。おおよそ24人に1人が、体外受精で生まれた計算になる。だが、件数の伸びに対して、生まれた子どもの割合は、ほとんど増えていないという。
体外受精の成否を左右する要因はさまざまだ。まずは、精子と卵子が結合して受精卵ができなければ先に進めない。それについて先日、学術誌『Fertility & Sterility』(オンライン版)に興味深い論文が発表された。
体外受精を受ける際、男性の肉類の好みが受精能(卵を受精する能力)に影響を及ぼす可能性があるというのである。
鶏肉の摂取量で受精率に13%の差
この研究を行ったのは、米・ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生学部(ボストン)のWei Xia氏らのグループ。マサチューセッツ総合病院で体外受精を行ったカップルのうち、男性141人の経過を追跡調査した。協力者の男性たちには、肉の総摂取量やどんな肉や加工肉を食べたかなど、食生活に関する情報を提供してもらった。
不妊治療の体外受精には、精子を卵子にふりかけて受精させる基本的な方法と、顕微鏡下で針を使い、1個の精子を直接卵子の細胞の中に入れる顕微授精・ICSIがある。今回の調査では基本的な方法だけを行った人と、ICSIを併用した人が混在していた。
分析の結果、男性の肉類の総摂取量と体外受精の成功率との関連性は、ICSIを併用しているかどうかにかかわらず認められなかった。一方、いずれのタイプの体外受精でも、鶏肉の摂取量が最も多い男性は、最も少ない男性よりも受精卵ができる確率が13%高かった(78%対65%)。
さらにICSIを併用せず、基本的な方法のみで人工授精を行った場合の受精率は、ハムやソーセージなどの加工肉の摂取量が最も少ない男性で、最も多い男性よりも28%も高かった(82%対54%)。ただしICSIを併用した場合は、加工肉の摂取量は人工授精の成功率に影響しなかった。