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明日は自分かも...... 増える"がんサバイバー" が安心して働ける社会に改革を!

 働くがんサバイバーたちは、病気に対する不安もさることながら、仕事上で受けるハラスメント(嫌がらせ)に悩む人も多い。望まない部署に転属させられたり、これは明らかな法律違反だが、依願退職を迫られたり、時には解雇もある。そういったハラスメントを恐れるあまり、「体調が悪くても休むわけにいかない」「通院などに上司や同僚の理解を得られるか不安だ」「業務に支障を来すのが心苦しい」などと考えがちだ。さらには、「体力が落ちて勤務がつらい」「通勤が困難」といった問題もあり、治療と仕事の両立は難しく、悩みは尽きない。

 しかし、悩みは病の回復を遅らせる。就業規則をしっかり読んで、活用できる制度はどんどん活用し、治療を優先しよう。治療が終わったからといって、病気になる前と同じように体調が回復するわけではない。がんサバイバー本人の努力だけでは解決できない悩みも多い。あらかじめ治療の予定や回復の見通しなどを会社側に伝え、話し合っておくことも必要だ。

 就業規則のない中小企業は、顔と顔を突き合わせて相談してみること。派遣社員は、派遣元と相談だ。

年内にまとめる「がん対策加速化プラン」とは

 2006年に「がん対策基本法」が成立してから、来年でちょうど10年。政府は年内を目処に「がん対策加速化プラン」をまとめている。次の3つが主な柱だ。

①避けられるがんを防ぐ: がん検診の普及、たばこ対策、教育など。

②がん死亡者の減少 :難治性のがんに対しての医薬品開発などの研究開発。

③がんと共に生きる :緩和ケアや地域医療の充実、がんと就労問題など。

 ③の就労問題では、ハローワークにがん患者の就職相談の専門職員を置いたり、仕事を継続できるような支援の仕組みを作ったりすることを検討中だ。

 そういった社会的なシステムづくりも必要だが、一番変わらなくてはならないのは、がんサバイバーのいる会社や職場の人々の意識だろう。人事部はもちろん、すべての社員が、がん治療やがんを抱えて働くことに対する理解を深めることが大切だ。なにしろ"2人に1人ががんにかかる時代"を迎え、人ごとではない。
(文=編集部)

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