対症療法をして自然治癒を待つしかない akiko/PIXTA(ピクスタ)
38℃ほどの微熱。「少し食欲が落ちているな」と思った翌日、その足先にぽつぽつと赤いモノが......。時間が経つにつれて、発疹は手のひらや指、おしり、さらには喉の奥にまで――。
子どもの「手足口病」の発症例のひとつである。乳幼児や子どもが夏にかかる代表的な病気のひとつ、手足口病。今年は、2013年に次ぐ大流行が見られ、首都圏や関西圏では警報レベルにまで達した。国立感染症研究所の発表によると、8月2日までに全国で3万人の患者が発生したという。
季節は初秋を迎え、患者数も減少傾向にある。ところが、手足口病は秋から冬にかけても感染する可能性がある。そして、実は大人が感染すると重症化しやすいといわれている。
手足口病には治療薬がない
毎年、初夏から初秋にかけて流行するのが「手足口病」だ。ウイルス性の病気で、主に0~5歳までの乳幼児が罹患する。発熱や口の中の痛み、水泡を伴った発疹が特徴で、潜伏期間は3~5日。発症しても、7~10日ほどで治る。
発熱も軽く、発疹にも痒みなどはあまりみられない。学校保健法でも学校で予防すべき伝染病には含まれておらず、症状が発疹だけであれば、登校や登園も可能だ。重症化することはまれだが、髄膜炎を伴ったり、急性脳炎を起こしたりするケースがある。
厄介なのは、治療薬がないことだ。熱が出たときには熱さまし、咽喉の水泡に痒みがあったときは口内炎薬、という具合に対症療法をして自然治癒を待つしかない。
また、原因となるウイルスがいくつも存在するため、一度感染して免疫がついても、別のウイルスによって再発することがある。有効なワクチン(予防接種)もない。
手足口病の感染経路は、唾や咳からの飛沫感染、水泡をつぶすなどした接触感染、排泄物からの経口感染だ。これを予防するには、普通の風邪と同じく、手洗いやうがいをすること、患者のタオルなどを共用しないこと。感染者の便には、治った後でも2~4週間ほどウイルスが検出されることがあり、おむつなどの排泄物は適切な処理が求められる。
手足口病は軽い疾患だと捉えがちだが、それは、あくまで子どもが罹ったときの話だ。