また、とくに胃薬の服用に注意を促す必要があるのは、腎臓に疾患がある人だ。胃酸を抑える薬には、上記のアルミニウムのほか、ナトリウムやカルシウム、マグネシウムなどが含まれている。通常これらの物質は体外に排泄されるが、腎臓に何らかの障害があると一時的に蓄積され、さまざまな副作用を起こす原因になることもある。
安易に飲んでしまいがちな胃薬だが、こうした理由からも、身体にダメージを与える可能性があることをしっかり認識する必要があるだろう。「気軽に飲める」と宣伝するテレビCMのコピーなどに惑わされず、胃薬に手を出す前に、その薬が今自分に本当に必要なのかどうかを十分見極めてほしい。
宇多川久美子(うだがわ・くみこ)
薬剤師、栄養学博士(米AHCN大学)、ボディトレーナー、一般社団法人国際感食協会代表理事、ハッピー☆ウォーク主宰、NPO法人統合医学健康増進会常務理事。1959年、千葉県生まれ。明治薬科大学卒業。薬剤師として医療の現場に身を置く中で、薬漬けの医療に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を活かし、薬に頼らない健康法を多方面に渡り発信している。その他、講演、セミナー、雑誌等での執筆も行っている。最新刊『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』(光文社新書)が好評発売中。
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