いい汗かいてますか? shutterstock.com
暑い日が続くと、麦茶や素麺といった冷たい飲み物や食べ物ばかりになりがち。一方、熱々の激辛カレーやラーメンは、ただでさえ暑い上に、顔や脇の下にいっぱい汗をかいてしまうので、敬遠したくなりますよね。
さて、熱い料理を食べると汗が吹き出ますが、これはどのような汗でしょうか?
体内に取り込まれた食べ物は、「酵素」によって栄養素に分解(異化)されたり、逆に合成(同化)されることで、エネルギーを生み出します。この「代謝」と呼ばれる活動によって生まれたエネルギーは、主に身体の活動に用いられます。しかし、実際に使われるのは約3割程度で、残りはほとんど熱として放出されます。
熱が放出されると、当然、体温が上がります。そして体温が上がると、酵素がさらに活発に働くようになり、代謝が加速するというサイクルが生まれます。そうなると、人間の体温も上がってしまう。人間は体温が43度以上になると生きていけません。
しかし、いくら代謝が加速して体温が上昇しても、それが上がり続けないような仕組みが、人体には備わっています。それは、体温より気温が低い時に自然に熱が体外に出ていく「放射」、日常的に動いたり物に触ったりする中で体熱が空気や物に伝わっていく「伝導・対流」、そして汗が水分として皮膚から蒸発するときの「蒸発」です。これら3つの放熱機能の中で最も効果的なのが汗による「蒸発」です。
食事によって体内に生じた熱は、汗をかくことで取り除かれます。もし熱い食べ物なら、体温の上昇も大きく、汗の量も増えます。辛い物については「味覚性発汗」といって、同様に辛み成分が体温を上昇させ、発汗という生理現象が起きます。たとえ熱い物や辛い物を食べても、汗の量が増えて体温を下げてくれるので、暑い日にあえて食べるのも悪くありません。
汗をかきにくい人が増えている
ところで皆さん、熱い物を食べたり岩盤浴など、日常的に「汗をかこう」という努力はしていますか?
近年、"汗をかきにくい人"が増えてきているといわれています。その原因は、どこに行っても空調が効いた快適な環境が整っていることや、運動不足にあるといわれています。汗をかく必要がなくなったため、汗腺の機能が低下しているのです。
さらに、生後2歳までの間、汗をかかない環境の中で育つと、「汗腺が発達しない」という報告まであります。そのため、生まれたときから冷房が整った環境に育った世代には、汗をかきにくい人が増えているといいます。
人間の体には、多い人で約500万個、少ない人で約200万個の汗腺があります。でも実際に活動しているのは、その半分程度。冷房のきいた室内ばかりにいたり、運動不足だったりすることで、活動する汗腺の数がさらに減ってしまいます。活動する汗腺が減ると、1つの汗腺が活動していない汗腺の分まで働かなくてはならない。それによって、どのようなことが起きるのか?