秋山医師は、この「人生ラスト10年問題」に正面から取り組み、少しでも人々の健康寿命が延びるよう活動している。具体的には、医学と栄養学に基づいた「メディカル・ウォーキング」の研究と普及活動。そして従来の、医師と看護師中心の医療でなく、栄養やリハビリなどの専門家も交えてチームを組む「チーム医療」を広げる草の根運動だ。
こういった活動を通じて見えてくるのは、100年間続いてきた、「生活の質がどうであれ、できるだけ延命を」という命の価値観が行き詰っているという実感である。それは、秋山医師によれば、まさに、原始の祖先がマンモス狩でひたすらマンモスをたくさん獲ることだけを進歩ととらえていたために行き詰まってしまったのと同じ状況だといえる。
医療の進歩は、どちらの方向を向いたらいいのか? 私たちは命をどうとらえなおしたらいいのか? 2回目は、秋山医師に、10年問題解決の具体策「メディカル・ウォーキング」の話を聞きながら、その方向をさぐってみたい。
秋山和宏(あきやま・かずひろ)
一般社団法人チーム医療フォーラム代表理事、東葛クリニック病院副院長。1990年、防衛医科大学校卒業。東京女子医大消化器病センター、至誠会第二病院を経て、1999年より東葛クリニック病院勤務。2010年より副院長。「参加する医療で社会を良くする」ことを目指し一般社団法人チーム医療フォーラムを設立。著書:『医療システムのモジュール化』(白桃書房)、『チーム医療のソコヂカラ』(Kindle版)など。ヘルスウオーキング指導士、医学博士、経営学修士(MBA)、日本消化器外科専門医、日本外科学会専門医、日本静脈経腸栄養学会評議員、日本褥瘡学会評議員
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