男女を問わず、尿漏れの一番の原因は、やはり「加齢」だ。年齢とともに筋肉が弱くなり骨盤底筋がうまく閉められなくなるため、尿のコントロールが難しくなる。また男性の場合、高齢になると尿道を囲む前立腺が肥大する傾向があり、このせいで尿道が圧迫され、排尿がしづらくなる。
さらに加齢では、膀胱が尿でいっぱいになって膨れあがり、常に少量の尿が漏れてくる「溢流性(いつりゅうせい)軽失禁」や、尿の勢いが弱まったり尿のキレが悪くなったりといった「排尿困難」という状態になることもある。これらは、糖尿病や前立腺肥大症、神経障害などの病気が原因となっている場合もあるので、専門医(泌尿器科)への受診が望ましい。
加齢の以外の排尿障害には、「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」がある。この症状は、急激に尿意に襲われる(尿意切迫感)、1日に8回以上トイレに行く(頻尿)、夜に何度もトイレに行く(夜間頻尿)、トイレまで我慢できず漏らしてしまう(切迫性尿失禁)などがある。
このような排尿障害は、脳からの情報がないままに勝手に膀胱が収縮することで起こるのだが、その理由はまだ特定されていない。日本では、男女含めて実に810万人、40歳以上の12.4%が排尿障害をきたしているという(2003年・日本排尿機能学会誌)。こちらも専門医によって治療・改善が可能だ。症状によって処方は違うが、投薬や簡単な手術といったものから、筋肉強化のための通電治療や体操まで様々なものがある。
加齢や病気が原因ではない、男性ならではの"尿漏れ"
排尿障害である尿漏れのほかに、「排尿後尿滴下(はいにょうごにょうてきか)」と呼ばれる尿漏れがある。これはオシッコをした後にごく少量の尿が漏れだす現象で、専門用語ではPMD(post micturition dribble)という。男性なら年齢に関係なく起こるもので、病気ではない。
前述のように、男性の尿道は長く折れ曲がっている。用を足してペニスを振っても、尿道の奥、「尿道球部」に尿が残りがちで、それが後になって漏れ出してくるのだ。
対処法は簡単だ。残っている尿を絞り出す「ミルキング」という方法で、陰嚢の裏側からペニスの根元までを大きくこする。この動作を何回か繰り返すと、残った尿が絞り出され、尿漏れを防ぐことができるのだ。