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【連載第7回 グローバリズムと日本の医療】

水泳は有効な有酸素運動だが、米国ではプール由来の感染症が急増!?

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不特定多数利用のプールにご用心Sandratsky Dmitriy/shutterstock.com

 2009年のアメリカの国勢調査によると、水泳はウォーキング、器具を用いてのエクササイズ、キャンプに次いでアメリカ人の間で人気のあるスポーツです。室内プールなら年中泳げますが、夏になると子供たちや家族づれでプールに行く機会も増えます。

 米国保健福祉省(HHS)によると、週に25時間水泳のような有酸素運動を定期的に行うことで慢性疾患を減らし、糖尿病や心臓病を患っている人や精神衛生上もよいそうです。水中を歩くだけでも運動になり、健康にとってはとてもよい運動のように思えます。

 しかし、この水泳には健康上大きな落とし穴があります。RWIs (recreational water illnesses:レクリエーションで使う水を通じての疾病)と呼ばれるもので、特に抵抗力の弱い子供たちがプール、湖、川、海で遊ぶ際には要注意です。MedicineNet.comによると、RWIsとは、プール、スパ、湖、川、海等で汚染された水やミストを飲みこんだり、吸い込んだり、接触したりすることで広がる感染症です。

 この病気を引き起こす主要な病原菌がクリプトスポリジウムです。クリプトスポリジウムは本来、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどに寄生する原虫として知られて、ヒトでへの初めての感染報告は1976年。1980年代に入ってからは後天性免疫不全症候群(AIDS)での致死性下痢症の病原体として注目されましたが、すぐに健常者でも水様下痢症などを引き起こすことが分かっています。そのほかの症状としては、腹痛、倦怠感、食欲低下、悪心などがあり、軽度の発熱を伴う例もあるようです。

日本でも神奈川や埼玉で集団感染例

 1993年にアメリカのウイスコンシン州ミルウォーキー市では、40万人を超える住民が本症に罹患する未曾有の集団感染が起こっています。翌年には神奈川県平塚市で460人が、さらに1996年には埼玉県入間郡で8800人もの集団感染が発生しています。

 米国疾病対策センターによると、RWIsを引き起こす主要な病原菌であるクリプトスポリジウムによる感染症の発症件数は2004年から2008年の4年間で3倍以上になっています。

 不特定多数が遊ぶ公共のプール等では、病原菌が繁殖する可能性があります。健康な人でも病原菌を含んだ水を一口飲んだだけでも病気になることがあります。もちろん、プール管理者は化学薬品等を使って殺菌するのですが、十分に管理されているプールでも数日間に渡って生き続ける病原菌もいます。

 このRWIsだけではなく、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(はやり目)、急性出血性結膜炎などがプール開きの後に起こりやすい感染症ですが、膣トリコモナス症や毛ジラミ症などの性病に感染する可能性もあります。

 幼児が多く集まるプールでは、尿が漏れたり、排便したりする可能性もあります。大人の場合は、化粧、サンローション、汗、ほこり、汚れなどがついたままの身体でプールにはいると、プールの水が汚れます。

 私有の遊具の持ち込みが許可されている施設では、物置に長期間放置し底にカビが付着しているようなゴムボートでも洗わずに、プールで使用される場合もあります。真夏の週末の屋外市営プールなどは、まさに芋をあらうように、人でごった返しています。

 厳しい衛生管理がされていなければ、病原菌の巣窟になりそうな場所ですが、一般の人の目視だけでは、プールの水がどれほど汚染されているのかはわかりません。

病気の時や体調が悪い時にはプールには入らないように

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