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減塩は日本人の必修科目? 熱中症対策を言い訳にした過剰摂取はキケン!? 

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まず一日の塩分摂取量の自覚から dorry/PIXTA(ピクスタ)

 食塩摂取に関する見直しや法改正が、今年に入って相次いでいる。4月、厚生労働省の食事摂取基準が改定され、1日の食塩摂取の目標値が18歳以上の男性で9gから8gに、女性で7.5gから7g未満になった。

 国は5年に一度、健康増進と生活習慣病予防のために、エネルギーや栄養量の摂取について基準を見なおしている。今回、「減塩」が「より減塩」へと進んだ。
 
 この動きを受け、"健康定食"の代名詞となった健康機器大手・タニタが運営する「丸の内タニタ食堂」も献立の食塩量を減らした。一汁三菜の献立で、塩分は必ず3g以下にしたのだ。

 減塩といえば「聞き飽きた」「高血圧の人の課題」「しょっぱいものは食べていない」と反応する人も多い。だが、日本人の塩分摂取は、世界的にもまだ多い。世界保健機関(WHO)の推奨は「5g未満」。国民平均摂取量(2013年)は10.2gだから、世界の目標値の2倍以上! ユネスコ無形文化遺産にも登録された世界に誇る和食だが、塩分に関しては"甘すぎる"のだ。

 高齢者の3人に2人が高血圧。その高血圧が、日本人の死因に多い脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるのは今や常識だ。高齢になってから食生活を見なおせばいいわけではない。

 人は必ず加齢とともに血圧が上がる。その血圧上昇をゆるやかにするのは、できるだけ若い頃から自覚して低塩生活を意識することが肝心だ。

食材パッケージの表示チェック、「塩分相当量」が一目瞭然

 とはいえ、熱心に計量スプーンを使って調理する人でもないかぎり、具体的にどうすべきか、難しく感じるものだ。こうした不便を解消するために今年、「食品表示法」も改定された。6月から施行され、5年の移行期間を経て、食品の栄養表示が「ナトリウム量」から「食塩相当量」に変わる。

 これまでのナトリウム表示では、その数値に2.54をかけた値が食塩相当量とされてきた。しかし、このような換算式は知られていないばかりか、表示を見ただけではピンとこない。表示法が変われば、その都度、売り場でチェックして選べる。

 試しに手にしたレトルトのパスタソース。そのパッケージには、すでに「ナトリウム」の脇に「食塩相当量2.5g」の表示があった。これなら「パスタを茹でてソースをかけて......」と自覚できる。
 
 これからの季節は「熱中症対策に塩分が必要」という声も聞かれるが、そもそも日本人は過剰気味だ。激しい運動で大量に発汗したり、長時間高温の場所で活動した場合は別だが、日常で"熱中症対策"を言い訳にした過剰摂取はキケンというわけだ。

 また、ビールやお茶、コーヒーなどの利尿作用のあるものなら、塩分も尿といっしょに......、とあなどってはいけない。水分を一度にとりすぎると血液量が増えて血圧が上昇する。ビール+塩分はリスクのダブルパンチと心得たい。

 小さじ1杯で約5gとされる食塩。世界基準の達成は容易ではない。とりあえず国内目標の男性8g、女性7gの数値は頭に入れておこう。これを習慣づけるだけでも、大きく変わる。自分が日頃、どれだけの塩分をとっているか、その自覚と把握が健康づくりの第一歩だ。
(文=編集部)

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