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【連載第15回 遺伝子検査は本当に未来を幸福にするのか?】

巨人Googleがパーソナル・ゲノム・サービスに本格的に参戦 その野望とは!?

 現在、グーグル・ゲノミクスは、1000人ゲノムプロジェクト、イルミナ・プラチナゲノム、110歳以上の超長寿者17人の全ゲノム、自閉症者とその家族の全ゲノムに関わり、蓄積している。近い将来、数百万ものヒトゲノムデータがサーバーに保存されれば、研究者ならだれもが手軽にデータベースにアクセスできる環境が整う。もちろん、このような遺伝子データベースはほかにもあり、グーグル・ゲノミクスの専売特許ではない。

 しかし、グーグル・ゲノミクスが類似の遺伝子データベースと一線を画するのは、将来にわたって保有するデータベースの巨大さと、そのバリエーションの潤沢さだ。データベースが計り知れないほどに桁違いであればあるほど、疾患に関与する因子や遺伝子変異を特定できる可能性が飛躍的に強まる。つまり、データベースはビッグであるほど、費用対効果も治療パフォーマンスもとてつもなく高まる。

 グーグル・ゲノミクスは、多種多彩な疾患にかかわるヒトゲノムのデータベース化に一貫してチャレンジし続けている。グーグル・ゲノミクスがめざすのは、研究者が一度に何百万もの配列にアクセスできる集中型データベースの構築だ。それは、オーダーメイド医療(個別化医療)のインフラ形成に直結する。

 私たちは、ヒトゲノムの解読が完了したポストゲノム時代に生きている。ヒトゲノムからサンプリングされたDNAの遺伝子情報が矢継ぎ早にデータベース化される。個人の遺伝子情報が国家や多国籍企業の資本や資産となり、生産・流通・消費・管理が加速する。これは、人命や個人のプライバシーの商品化が蔓延するゲノム資本主義そのものだ。だが、今、目にしている光景は、氷山の一角にすぎない。Googleは、ゲノム資本主義の覇者を視野に入れているはずだ。

 今回は、Googleが取り組む研究機関向けのヒトゲノム・データベースサービス、グーグル・ゲノミクスにスポットを当てた。次回は不老不死の研究に明け暮れる医療ベンチャーCalico の躍進ぶりを取り上げよう。

佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。
連載「遺伝子検査は本当に未来を幸福にするのか?」バックナンバー

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