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【医療用ロボットの進化と挑戦・第4回】

内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」が活躍する前立腺がん、食道がん、胃がん

 2014年9月、胃がんの内視鏡ロボット支援手術は、先進医療に認められた。申請の根拠となったのが、宇山氏が主導した藤田保健衛生大学病院における2009年1月~2012年12月のコホート研究だ。胃がんの根治的切除術を行った526例のうち、ダ・ヴィンチ使用群と従来法群について、手術時間や出血量、リンパ節郭清範囲、術後合併症などを詳細に比較。内視鏡ロボット支援手術のラーニングカーブ(習熟曲線)以外の有用性を示した世界初の研究として、国際的に高い評価を得た。

 特に術後合併症が少ないのは、患者に取っては得がたいメリットだろう。最大のハードルは、ダ・ヴィンチが高額のために治療費が高いことだ。現在は、前立腺がん以外の内視鏡ロボット支援手術に健康保険は適用されないので、200〜300万円の自費治療になる。胃がんは先進医療に承認されたため治療費の一部は保険が使え、自己負担額は約65万円。ただし、先進医療が適応されるのは、臨床病期I期とII期の胃がんが対象で、心筋梗塞や喘息の合併症がないケースに限られる。

 今後は、臨床病期I期とII期の胃がんを対象に、臨床試験を重ねて安全性・有効性・経済性を確認し、2018年の保険適用をめざすという。予定登録数は330例、主要評価項目はグレード3以上の合併症発生率だ。ダ・ヴィンチの導入によって、合併症発生率を低減できるという仮説を検証するのが目的だ。

 なお、臨床試験の主要評価項目とは、治療の有効性または安全性を評価するためにプロトコル(臨床研究実施計画書)に記述された評価項目のうち、試験の主な目的に直結した臨床的・生物学的・医学的に有意な証拠を示せる客観的な評価項目をいう。

 今回は、数あるダ・ヴィンチの臨床事例の中から、藤田保健衛生大学医学部が取り組んでいる、前立腺がん、食道がん、胃がんにスポットを当てた。次回は、東京大学医学部附属病院などが進める、大腸(直腸)がん、腎臓がん、子宮がん、肺がんのケースを紹介しよう。
(文=編集部)


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