MENU

ジョギング嫌いに朗報! ヨガに有酸素運動と同じ効果が......

yoga.jpg

ヨガに有酸素運動と同等の効果があることが判明

 健康や美容に興味のある人なら、誰もがその効果に注目する「ヨガ(ヨーガ)」。ヨガは健康意識の高い人を中心に世界中に広がり、ハリウッド女優やスーパーモデル、セレブたちにも愛好家は多い。日本でも、流行の感度の高い人だけでなく一般にも普及してきた。

 以前からヨガの効用に関しては、リラクゼーションや血流の循環の向上などの研究報告がある。今回新たに判明したのは、ヨガのもたらす健康への影響は有酸素運動と同様の効果を与えるというもの。代表的な有酸素運動(ランニング・サイクリング・スイミングなど)が、身体の故障や環境の制限で行えない人や、苦手な人には朗報だ。

 米・ハーバード大学のPaula Chu氏らは、『European Journal of Preventive Cardiology』(2014年12月16日オンライン版)で、運動を行わないグループに比べて、ヨガを行ったグループはBMI(肥満度)、血圧、脂質値などの危険因子が有意に改善し、その効果は有酸素運動を行ったグループと同じだと報告した。

 Chu氏らは、2013年12月までの5つのデータベース(MEDLINEなど)を検索し、成人を対象に「アーサナ」(座位のポーズ)を中心とするヨガの効果を検討した「ランダム化比較試験(RCT)」の英語論文を特定した。

 37件のRCTのシステマチックレビュー(文献をくまなく調査してデータの偏りを限りなく除き分析)とメタ解析(複数のRCTの結果を統合してより高い見地から分析)を行い、心血管疾患(CVD)およびメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の危険因子に対するヨガの効果を検討した。

 報告では「何らかの理由で有酸素運動を行えない人や好まない人でも、ヨガを行えばCVDリスクを低減しうるという今回の結果は注目すべき」と強調している。

 主要評価項目は、BMIをはじめとするCVDおよびメタボの危険因子の変化とし、エアロビクス、サイクリング、ランニング、速歩などの「有酸素運動を行う群」、これらの運動を行わない「非運動群」の2つとヨガを行うグループとを比較した。

 運動しないグループに比べて、ヨガグループでは主要な評価項目(BMI・収縮期血圧・LDLコレステロール値・HDLコレステロール値)が有意に改善。ほかにも、体重、拡張期血圧、総コレステロール値、トリグリセライド値、心拍数が改善した。しかし、空腹時の血糖値とHbA1c値には有意な変化は認められなかった。

 また、2型糖尿病および冠動脈疾患の患者では、ヨガと薬物療法を併用した場合に体重、BMI、血圧、脂質値、空腹時血糖値、HbA1c値、心拍数が有意に改善。ただし、ヨガを薬物療法の代替法として使用した場合には効果が減弱した。

 さらに一部のRCTでは、血圧と体重の管理においてヨガのほうが薬物療法より優れていることが示され、禁煙に対するヨガの効果を確認したRCTも1件あった。

ヨガのストレス抑制効果が神経機能に好影響の可能性

 一方で、危険因子に対するヨガの効果は有酸素運動と同等であることが示された。報告では、「ヨガにも有酸素運動と類似した生理学的な効果があり、有酸素運動にもストレス抑制効果やリラックス効果があるのではないか」と考察している。

 Chu氏らは、「ヨガがCVDに対して効果を発揮する機序は明らかになっていない」とした上で、ヨガのストレス抑制効果が神経内分泌機能、代謝機能などに好影響を与えている可能性があると指摘。さらに、基本データによる研究分析の限界に触れつつも、高価な機器や技術がなくても多くの人が利用できるヨガは、費用効果の高い治療・予防法になる可能性があると結論付けている。

「スロートレーニング」と同じような筋力アップ効果も

 ヨガのポーズは、「アイソメトリクス」(ほぼ同じ姿勢のまま筋肉をキープする静的筋力トレーニング)が中心。その筋肉収縮を維持しながら、「アイソトニック」(筋肉や関節を動かす)な動きを加えることもある。

 速い動作がなく、いわゆる「スロートレーニング」と同じ効果だ。器具を使わない小さな負荷でも、筋肉が緊張を続けることで血流が制限されて筋肉は「大きな負荷がかかっている」と錯覚する。その結果、筋肥大や筋力アップして、代謝が上がるというスロートレーニングの原理そのもの。

 「ルーシーダットン(タイ古式ヨガ)」マスターコース認定インストラクターの資格を持つ五十嵐あゆ子さんによると、「ヨガのポーズを繰り返すと "無駄のない"体の使い方を覚え、普段使っていない筋肉に刺激が加わります。ストレッチ系ポーズストレッチの効果は、副交感神経の活動を有意に変化させることが明らかとなっています」

 また、ヨガは「呼吸をするためにポーズをとる」といわれているほど、「呼吸」を大事にする。「呼吸は自律神経に深く関わっており、ヨガで体調がよくなった、沈みがちだった心が明るくなった、生理痛や便秘が解消した、体質が変わったという声を聞きます」(五十嵐さん)

 現代人は特に、仕事や家事などに追われ、交感神経が活発になっている状態が長い。自律神経のスイッチを上手に切り替えられるよう、生活にヨガを取り入れてはどうだろう。
(文=編集部)

関連記事
アクセスランキング
専門家一覧
Doctors marche