●コカ茶がもたらす壮健な肉体と高い性能力
約4500年前から南米の先住民達は、コカの葉を咀嚼し、食物として使用してきた。特に標高4000m以上の高地では、慢性低酸素と低圧の環境下で、パラカス文明、ティワナク文明、インカ文明などさまざまな国を繁栄させてきた。チチカカ湖周辺の村は今でもコーカサス地方などとならぶ世界的に有名な長寿村となっている。
コカの葉の最も一般的な利用は、干したコカの葉をカップに入れ熱い湯を注ぎ、しばらく待ってから飲む「コカ茶」だ。好みによっては砂糖を入れて飲むことも多く、きわめて日常的な飲み物だ。ティー・バッグやコカビールまである。また、ボリビアのラパス市などや標高が高い地域では、高山病の症状を緩和させる薬としても有名だ。
実はコカの葉に含まれるコカインの成分はわずかに0.7%程度。この葉を咀嚼すると、成分が浸出するが、20分間ほど経つと消化器官で完全に加水分解される。コカの葉の咀嚼やお茶にして接しても、アルカロイドの毒性はほとんどなく、それどころか、このコカの葉の効用はまだまだ未知数の部分もあり、今後も科学的な解析によって健康にどれだけ貢献するかの研究が必要だ。
関先生によると、コカの葉を咀嚼することにより、ビタミン類などの抗酸化物質が体内に取り込まれる。その結果、老化を遅延させるという。さらにコカの葉を咀嚼すると、アルカロイドの作用で、脳に多幸感を生じさせ、食欲を抑えることができ、十分な睡眠を容易にし、飽食や過食にもならないという理想的な健康管理が可能だ。
南米では肥満は非常に少ないという。またアルカロイドが毛根細胞を修復するため、ハゲにもなりにくいという。さらには唾液の分泌によって、活性酸素を消去させ、その結果がん細胞の発生の予防さえあるという。そのほかにも高血圧、うつ病、認知症などに対する改善効果など解明されるべき作用があまりのも多いという。また関先生は「コカの葉」がもたらす適度なドーパミンが、セクシャル・ヘルスの増進につながると見ていて、性生活が乏しいといわれる日本でのカンフル剤になるとも考えている。
アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジルなどの国では、日本でもよく知られるマテ茶が非常にポピュラーだ。コカ茶ほどではないにしろ養素のミネラル類(カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分)や食物繊維が多量に含まれている。烏龍茶と比較しても場、カルシウムでは28倍、マグネシウムでは約20倍、亜鉛では約3倍、鉄分では約20倍の量が含まれている(日本マテ茶協会のHP参照)。「飲むサラダ」といううたい文句もあながち嘘ではないだろう。
こうした伝統的な食文化と現在のサッカー選手の肉体の関連性はあくまでも推測にしか過ぎない。しかし、南米での肥満率やがんの発症率の低さなど、いくつかの兆候が見て取れる。2007年に発表された、コンドーム・メーカーによる世界規模の性意識実態調査の結果によると、ブラジル人の平均セックスの回数は145回/年で、世界2位だった。こんなところにもその"元気さ"が伺える。
(文=編集部)