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第7波は人災!? すぐやるべき改善策を現場医師が提言

国民の皆さんはワクチン接種とできる限り抗原キットの入手を

2)国民の皆さん、職場の管理者の方にお願いです

コロナだけでなく、コロナ以外の病気の人ですぐ治療が必要な人が医療機関にかかれなくなっています。自分と家族のこととして考えてみて下さい。生きるか死ぬかになった時に、救急車を呼んでも来ない、来ても搬送する先がないのです。私たちは今、我慢できるときは我慢して、その代わり本当に必要な時に優先して診てもらえるように、少ない医療資源を有効利用しなくてはなりません。オミクロンのBA5はBA1,2より1.27倍もうつりやすく、医療機関ではスタッフの感染や自宅待機による人手不足が深刻化しています。器(ベッド)はあっても人がいないのです。

(1)まず接種できる人はワクチンを最低3回接種して下さい。ワクチンの接種者は、多少のウイルスが体に入ってきても抑え込むことができます。コロナの後遺症で苦しむ人もじわじわ増えています。世界では様々なデータが積み上がっています。ワクチンは明らかに有効です。

(2)出来る時に、認可された抗原キットを手に入れておいて下さい https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11331.html

(3)解熱剤や風邪薬購入しておきましょう。
痛み止め・解熱剤・咳止め等の対症療法の薬のほとんどは市販薬でカバーできます。痛み止めと解熱剤は同じものです。子供にはアセトアミノフェン入りのものがいいのですが、持病のない大人はロキソニンでもイブでも、大抵何を内服しても大丈夫です。

(4)最低1週間分の食べ物を備蓄しておきましょう。
行政からの食料は、配ってくれたとしても届くのは治った頃です。

(5)罹患証明は急がないで。
コロナにかかった場合、保険会社の書類は急がなくても大丈夫です。一旦医療機関で登録された人はマイハーシスから罹患は証明できます。保健所も隔離期間の証明書を出してくれます。認可された抗原キットで陽性になった人は、製造会社名と陽性と出たキットの写真を残しておいて下さい。後からでも証拠になるでしょう。

(6)合理的な感染対策を
いつも一緒のメンバー以外は、相手がコロナウイルス保持者かもしれないと思って行動して下さい。相手の感染状況が不明な場合は、マスクをすること部屋の換気することです。この2つは、ワクチン接種とともに極めて有効な感染対策です。戸外なら大丈夫といっても、イベントで混雑していれば話は別です。

職場の管理者の方々へ
コロナの疑い患者が出た時に、周囲の人も含めて「会社からPCR検査を受けてくるように言われた」という人が後を絶ちません。会社命令での検査は法的根拠もなく、やり取りを含めて医療現場の大きな負担になっています。陽性証明や陰性証明を求めさせるのは止めて下さい。治療がいらないから、まず自宅療養で乗り切って頂きたいのです。
会社でも認可された抗原キットを購入して配布してあげて下さい。

自分自身で出来ること、職場でできるサポート、現場の医療機関がやるべきこと、医療団体や学会がやるべきこと、行政がやること、専門家たちがやるべきこと、そしてリーダーであるべき政治家の仕事。皆で分担し合いましょう。指示待ちに慣れてしまった国民性を変えるのは難しいですが、自ら考えて行動しないと、もう誰も守ってくれません。私たち医療現場は、この2年半でかつてなく疲弊し、これ以上のエネルギーはありません。
(文=坂根みち子)

坂根みち子(さかね・みちこ)
坂根Mクリニック院長。筑波大学医学専門学群 筑波大学大学院博士課程卒業。
筑波大学附属病院、筑波記念病院、きぬ医師会病院、茨城西南医療センター病院、筑波学園病院、流山総合病院、総合守谷第一病院、おおたかの森病院などを経て現職。
日本体育協会公認スポーツドクター、認定内科医、循環器専門医

※医療バナンス学会発行「MRIC」2022年8月1日より転載(http://medg.jp/mt/)

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