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【連載・知られざる漢方薬パワーの実像③】

花粉症の根本改善は可能なのか? 漢方薬は花粉症にこう効く!

漢方ならば即効性と根本改善の両輪から治療が可能

 花粉症に漢方というと「効かなそう」というイメージがあるかもしれませんが、実は相性が良ければ即効性も期待でき、さらには花粉症知らずの体づくりを目指すことも可能です。すぐ効かないイメージがありますが、体質にさえ合っていれば、速い人では飲んで30分程度で効果を感じることもあるほど即効性もあり、大抵の場合は1-2週間も続ければ何らかの効果が得られます。

 しかも、根本的な改善効果も併せ持っているという点が、他の西洋薬とは違う大きな特徴です。西洋薬の抗アレルギー剤は飲むのを止めたり忘れると、一気に症状がぶり返すこともあります。でも、漢方の場合は土台から整えているので、止めても症状がもう出なくなることも。

 このように、漢方は今ある症状を取る「標治」と根本的な改善を目指す「根治」の両方にアプローチできる、現代医学にはない特徴を持っているのです。

漢方で基礎体力をつけて根本治療

 花粉症は西洋医学ではヒスタミン受容体を介した免疫の過剰反応によるものと説明されます。一方、漢方では体質によって花粉症の捉え方が変わります。水っぽいさらさら鼻水であれば「水」のトラブル、鼻づまりであれば「熱」のトラブルなど原因は体質により変わりますが、どんな体質であっても根本的に体力の不足や消耗があると考えます。花粉のような異物を跳ね除ける体力(バリアー機能)が弱っているために、体に侵入を許してしまい闘う力が足りないために花粉症という症状が出ているのです。

 体力の衰えは意外にも胃腸の不調から出ていることもあり、胃腸から花粉症治療を目指すというのは漢方の独特な考え方だといえます。他にもさまざまなアプローチが漢方では可能です。睡眠不足や食生活の乱れ、ストレスによって自律神経のはたらきが乱れている現代人こそ、漢方は寄り添うような効果をもたらしてくれます。

漢方が効かないのは選び方が間違っている!?

 花粉症や鼻水の漢方を求めて薬局やドラッグストアにいくと、大抵の場合は「小青竜湯」という漢方薬を勧められるか、パッケージから購入してしまいがちです。もちろん、小青竜湯はサラサラした鼻水が出る花粉症によく用いられるのですが、必ずしも全員にマッチするわけではないので注意しなければいけません。

 漢方は体質からアプローチして症状を抑える効果があるので、体質によって漢方薬を使い分けてこそ、効果を最大限に発揮します。例えば、花粉症の改善に、婦人科疾患で有名な「当帰芍薬散」4)や高齢者の体力低下に用いられる「真武湯」5)など、必ずしも効能効果に「鼻水」「鼻づまり」などと書かれていない漢方がマッチすることもあります。
また、ある臨床報告によれば、11種類の漢方薬を使用した全体の治療成績は有効率83%と極めて良好であったというデータもあります。6)

参考:当帰芍薬散が奏効したアレルギ性鼻炎の症例(https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/69/4/69_359/_pdf/-char/ja)
真武湯が奏効したアレルギ性鼻炎の症例(https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed1982/57/2/57_2_213/_pdf)、
スギ花粉症に対する漢方薬併用療法の臨床効果(https://ci.nii.ac.jp/naid/10025975131/)

 ただ、自分にどの漢方が効果があるかを見つけることは、なかなか自己判断では難しいところがあります。これが漢方治療が効果がないと誤解されている原因の一つかもしれません。漢方治療にはその体質の見極め、証(体質)にあった漢方の見立てなど、専門的な知識が求められます。ぜひ、漢方専門医や漢方相談などを活用して、体質チェックから受けてみると良いでしょう。

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