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重度障害者が社会で生きる!映画『ブレス しあわせの呼吸』はノーマライゼーションの物語

重度の障害を抱えても「幸せな生き方」を証明

 ロビンは資金提供者をつのり、自分と同じ病を持つ多くの患者のために人工呼吸器つき車椅子を生産する。ロビンがいた施設のほかの患者達も、その車椅子で外に出られるようになる。

 ロビンは重度障害者に関する会議に出席するためにドイツに行くが、そこで訪れたのは、患者たちが大きな機械に入れられ首から上だけを出して並んでいる、まさに収容施設だった。当時ヨーロッパでは、全身を鉄の箱に入れ、箱の中を陰圧にすることで酸素が肺に入るようにする、「鉄の肺」と呼ばれる人工呼吸器が普及していた。

 だが、首から下を箱に入れられ、まったく身動きもできない生活に幸せなどあるだろうか。ロビンは自らの人生をもって、重度の障害を抱えていても、自由に外を出歩くことで、幸せな生き方ができることを証明しようとする。

製作者は主人公の息子

 主役のロビンを演じるのは映画『アメイジング・スパイダーマン』で主役のピーターを演じたアンドリュー・ガーフィールド。その後の彼は作品選びにこだわりを見せ、『ハクソー・リッジ』や『沈黙/サイレンス』といった作品に出演している。

 そして、本作の製作者であるジョナサン・カヴェンディッシュは、本作の主人公であるロビンとダイアナの息子である。この作品は自分の両親の話を映画化するというホーム・ムービーでありながら、人生を懸命に生きようするすべての人に訴えかける普遍性を持っている。

 人工呼吸器をつけながら36年を行きたロビン。映画の最後で、彼は自分らしく生きるためにある選択をする。その結末は、ぜひ映画館で目にしてほしい。本作はまさに、障害がある人が、障害がない人とともに生きていくという、ノーマライゼーションの物語である。
(文=里中高志)

『ブレス しあわせの呼吸』9月7日より角川シネマ有楽町他全国ロードショー
監督:アンディ・サーキス
出演:アンドリュー・ガーフィールド、クレア・フォイ、トム・ホランダー、ヒュー・ボネヴィル
公式HP:http://breath-movie.jp 

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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